動物園の一隅。閉館時間の五時を過ぎ、 園内のざわめきが引き潮のように 遠のいていく中、 係の男が二人、見回りを始める。 たいしたことは何も起こらない、せいぜい立て札の悪戯を発見するくらい。 「なんでもいい、 何か変わったことさえ起こってくれたら……」、 二人の男は、 ライオンの檻を開け放つ。