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署名人
初出:『テアトロ』1958年11月号,『早稲田演劇』第5号
収録:「署名人」未来社 1963.12(未来劇場 No.91)
「狂人なおもて往生をとぐ」p123~167 中央公論社 1970.1.20
「現代日本戯曲大系 第4巻」p43~58 三一書房 1971.8.31
「現代の文学 37」p171~193 講談社 1973.5.30
「清水邦夫全仕事1958~1980上」p7~32 河出書房新社 1992.6.20
「清水邦夫 1」ハヤカワ演劇文庫 p7~62 早川書房 2006.11.22
受賞:早稲田演劇賞/テアトロ演劇賞
【上演データ】
 1960(昭35)年11月30日~12月5日
劇団青俳第8回公演
会場:俳優座劇場
演出:倉橋健/兼八善兼
装置:朝倉攝
照明:篠原久
効果:田村悳
衣裳:今井淑子
舞台監督:佐藤〓(ネへんに己)夫
出演:岡田英次(松田某)/穂高稔(赤井某)/織本順吉(井崎某)/宮田桂(獄吏)/梅津栄(獄吏)
サイスタジオ公演vol.17(公式サイト)
2006(平成18)年3月24日~4月2日
会場:サイスタジオ
演出:高橋正徳(文学座)
出演:中村彰男/鈴木弘秋/神野崇/斉藤祐一/細貝弘二
美術:乘峯雅寛(文学座)
照明:賀澤礼子(文学座)
音響効果:熊野大輔
【あらすじ】
明治17年頃、国事犯官房の一室。立憲運動に身を捧げた憂国の士二人と「署名人」という奇妙な職業をもった下賤な男の3人が同室となる。署名人とは新聞雑誌の署名を大金を受け取って肩代わりし、讒謗律に引っかかった場合監獄に入るのが仕事である。
取調官の猫が木に登って降りられないという事件がおき、それにからんで2人の脱獄の目的が明らかになって来ると…。
【コメント】
早稲田大学時代に書いた処女作。3年生の時に演劇科へ転科し、その記念に書かれたものです。処女作でこの完成度。あちらこちらで劇化され、1997年の現在に至っても上演されています。
台詞に堅い理屈が先走るところは若干ありますが、それでも個々の人物設定・対立する人間関係・舞台設定・事件の発生と結末、登場人物の心理の移り変わりなど、がっちりとした重厚感さえ漂う作品です。『テアトロ』『早稲田演劇』両誌に同時入選し、安部公房に絶賛されたそうです。
上演されたのは岩波映画に入った年、安部公房の処女作「制服」と一緒に上演されました。時まさに1960年、作者も安保闘争に岩波労組の一員として参加したそうです。
損得の計算をし尽くすことで生きて来た人間と、損得と無縁な場所で生きてきた人間。平和を好み血を嫌う男と、血にはやり自らを正当化することを辞さない男、そして冷静に自らの所行を見つめる男。生き延びようとし、諦めていく人間の声が最後に響き渡ります。それはどんな声で演出されたんでしょうか。
「…それは、あくまで哄笑に通じるような質のものであって欲しい。」と未来社「署名人」の作者のことばに記されています。
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