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朝に死す
初出:『集』第1号(同人雑誌。1958年創刊),『テアトロ』1965年11月号
収録:「あの日たち」p197~226 テアトロ 1974.7.1
「清水邦夫全仕事1958~1980上」p33~49 河出書房新社 1992.6.20
【上演データ】
1979(昭54)年9月18,20,22,25,27,29日
木冬社特別公演
会場:渋谷ジァンジァン
構成・演出:秋浜悟史/新田隆
美術:大野泰
照明:日高勝彦
音響:深川定次
出演:金田明夫/村雲敦子/木下浩之/守屋るみ
【あらすじ】
大きな灰色のコンクリートの壁の前。中は工場か何か大きな建物と思われる。そこへ若い男が女を背負ってやって来る。男は20歳、女は18歳。男が仲間を裏切ったことで撃たれそうになったところを、飛び込んできた女に弾があたり、歩けない女をおぶってここまで逃げて来た。男は追っ手から逃げていて、女を置き去りにしようとするが、何故か出来ない。女は男に捨てられたばかり。それまで顔も知らなかったが、片隅で生きるという共通項をもった二人の奇妙な会話が始まる…。
【コメント】
「この壁のように頑丈に出来ている」巨大な敵の象徴かのような壁に寄りかかって安らぐという逆説的な設定が目を引きました。生きようとし、諦め、そしてまた生きようとする姿は前作の署名人と近いものを感じました。いずれにせよ古典的な起承転結で骨格のしっかりとした戯曲だと思いましたが、台詞の内容に若さを感じます。
登場人物は男と女の二人だけ、舞台設定は壁のみ、という実に安上がりな上演形態を持ち、なおかつ巧みな台詞が魅力なのか、学生演劇の定番です。実はこのお芝居は私にとって初めて見た舞台でした。しかしジァンジァンで見たわけじゃありません。大学に入って同じ学科の男の子が演劇部に入り、初めての公演だから来てくれというので演劇部のアトリエに見に行ったんです。それがこのお芝居だったんですが、かなり後になって、あ、あれも清水邦夫だったんだなあと思い出したくらいです。奇遇というか、運命というか。
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