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戯曲

血の婚礼

初出:1986?

【上演データ】
血の婚礼 初演
「NINAGAWA少年少女鼓笛隊による血の婚礼」
1986(昭61)年7月15日~27日
GEKISYA NINAGAWA STUDIO 第4回公演
会場:ベニサン・ピット
音楽:「アメイジング・グレイス」
演出:蜷川幸雄
照明:原田保
音響:高橋巌/井上正弘
装置:沼田憲平
衣裳:木村晶子
舞台監督:明石伸一
出演:大川浩樹(兄さん)/平井太佳子(姉さん)/渕野直幸(北の兄)/鈴木真理(北の姉)/馬場千登勢(北の姉)/渋谷茂(北の弟)/川部いちろう(北の弟)/松重豊(シーちゃん)/大坂義裕(ハルキ)/中村恵子(ふねの姉)/森田眞由美(ふねの姉)/菊地一浩(精三)/飯田邦博(北浜のおじさん)/砂原茂(親戚のおじ)/妹尾正文(喪服の男)/石丸さち子(高校生)/伊東千啓/大石継太/高木透/坪井美香/西初恵/宮城由佳/難波真奈美/左明建/阿南健治/楠田由美/神戸美鈴(以上喪服の男女)/磯崎礼子(長女)/今井啓子(次女)/安田英一(長女の夫)/勝村政信(弟)/石橋慶一(コインランドリーの客)/長谷川晴美(同)/飯田恵子/内野冨美子/下村久実(路地の人びと)/樫尾佳代子/羽子田杏子/久川明美/雨宮三郎/伊藤文雄/岡田正/風間正弘/高橋健二/月田真美子/中村兆成/吉井秀子(鼓笛隊)/清家栄一(トランシーバーの青年)
再演
血の婚礼 再演 パンフ
「血の婚礼」
1993(平5)年11月29日~12月23日
銀座セゾン劇場公演
会場:銀座セゾン劇場
演出:蜷川幸雄
美術:朝倉攝
照明:原田保
衣裳:小峰リリー
効果:井上正弘
舞台監督:明石伸一
制作:松井珠美
出演:佐藤オリエ/西岡徳間/寺島しのぶ/北村和夫/坂部文昭/田根楽子/大石継太/大川浩樹/妹尾正文/片瀬佐知子/他
【あらすじ】
 コインランドリーとビデオショップにはさまれた路地。降りしきる雨の中を鼓笛隊が通り過ぎてゆく。近所に住んでいる北の女は、二年前結婚式から逃げ出して、北の兄と一緒に上京したのだが、今二人は別居している。そこへ花嫁に逃げられたハルキと北の弟、親戚連中がやってくる。路地に住む人々を巻き込みながら、三人は再会するが…。
【コメント】
 私は再演の時に銀座セゾン劇場で観ました。路地のネオンが毒々しくももの悲しい雰囲気で、路地裏感がよくでていました。何より雨が凄かった。時々降るのではなく、舞台の間中ずっと降ってるんです。一番前の方の席の人にはビニールが配られていました。あれだけの雨をどうやって排水するのか、そのことばかり気になっていました。
 寺島しのぶが少年役で出ていました。その後も蜷川さんに気に入られたのか、何度も出演しています。どこがいいんだろうとこの時は思いましたが、最近「常陸坊海尊」を見て納得しました。すごい存在感で記憶に残りすぎて、反発していたようです。
 「ひばり」がつぶれて替わりにこれを上演したのですが、ここがスタートでオリジナル作品が徐々に減っていきます。淋しい限りです。
1997
再々演
「血の婚礼」
血の婚礼 再々演 チラシ
1999(平8)年6月17日~26日
THE NINAGAWA COMPANY '(DASH) 公演
会場:ベニサンピット
演出:蜷川幸雄
出演:清家栄一(兄さん)/難波真奈美(姉さん)/鈴木豊(北の兄)/松田かおり(北の女)/井上顕(北の弟)/新川將人(シーちゃん)/堀文明(ハルキ)/塚本幸男(北浜のおじさん)/真貝大樹(いとこの精三)/藤村延二(親戚のおじ)/高橋洋(トランシーバー少年)
4回目
大規模修繕劇団 旗揚げ公演「血の婚礼」
大規模修繕劇団 血の婚礼  チラシ
2011(平成23)年6月24日~7月30日
にしすがも創造舎体育館 特設劇場
演出:蜷川幸雄
出演:窪塚洋介(北の兄)/中嶋朋子(北の女)/丸山智己(北の弟)/丸山智己(ハルキ)/田島優成(トランシーバー少年)/近藤公園(北の弟)/青山達三(喪服の男)/高橋和也(兄さん)/伊藤蘭(姉さん)
【コメント】
雨が降っていたことはよく覚えているのですが、それ以外のことはすっかり忘れたまま巣鴨へ行きました。舞台装置を見て、「あ、同じだ」と気付いてから、記憶がどんどん甦ってきました。セリフも結構頭に残っていたようです。
残念ながら私はベニサンピットの2回の公演を見ていません。特に初演を見ておきたかった。再演のときに「ひばり」が中止になり、急遽上演されたので、おそらく舞台装置などは、初演のままだったのではないかと想像しますが、わからないのです。それならば今回の大規模修繕劇団での上演が同じ舞台装置であることは納得できます。
そして、このときのトランシーバー少年が普通の「頑張って芝居している若者」だったせいで、再演時の寺島しのぶがどれだけの仕事をしたのか、はっきりとわかりました。彼女がこの舞台の異様な空気に連れて行ってくれないと、私はこの路地裏にどうにも上手に入れないのです。他の人の芝居を忘れるくらいに舞台装置と寺島しのぶはすごかった。ただ、今回はそこがうまくいかない分、落ち着いて他の人の芝居を見ることができたような気もします。前回の圧倒され具合に比べると残念ながら、どうしても印象は落ちます。
一方で、窪塚洋介の立ち姿が美しく、あのラッパーのようなスタイルをやめると、これだけ映えるんだということに驚きました。伊藤蘭は新しい「姉」です。これだけ線が細いのに、伝統的なあの「姉」を演じられるとは、すごい。フネさんにトレンチコートを着せるのは、初演当時清水=蜷川のヒロインはトレンチ多かったなーとか、そんなことを思い出しながら見ていました。
Bunkamuraが設備改修工事のため、西巣鴨の廃校につくられた「にしすがも創造舎」の体育館で「大規模修繕劇団 旗揚げ公演」というタイトルで上演されました。体育館ですので、クーラーはさすがにありませんでしたが、一応空気は流れるようになっていましたので風は吹いていました。この空調がなかったら息が詰まって見ていられなかったでしょう。ただ、雨が激しく降るために湿気がひどく、次第に頭がぼーっとしてきました。テント公演のようでしたが、体育館なので似たようなものでしょうか。とにかく蒸し暑かった。
このときのパンフレットに蜷川さんが寄せた文が痛々しい。おそらく「ひばり」が書けなくなったときの清水先生の生原稿をご覧になったときの話だと思います。本当に血を吐くように書かれていたんだなと、あらためて感じました。
2011.7.10マチネ
 


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