夢去りて、オルフェ

レクラム社　1988.12.1　97p　B5　1500円（ワイド版戯曲シリーズ　1）

すでに風音はすっかり音楽をのみ込んでいる。
そこは夜の北陸酔ヶ浜遊園地。
いや、正確にいえば、その焼跡である。
中央にメリーゴーランド（回転木馬）の台‥‥
しかし円形の屋根は半分以上焼失、
ポールはひん曲がり、
買い短大の木馬もたった三基残存するだけ‥‥
その三基の木馬が闇夜を駆けのぼるように
上下して浮かんでいる‥‥
このメリーゴーランドの背後には、
おおいかぶさるようにぼんやり風車の塔が見える。
その風車の羽根も欠け落ち、
時々風にカラカラと鳴る‥‥

夢去りて、オルフェ：p3～95

＊あとがき：p96～97