2000年の秋か冬だったと思うが、陽水が確か東京国際フォーラムだったか、渋谷公会堂だったかのコンサートで「コーヒー・ルンバ」を歌ったと記憶している。意外な選曲でお客さんはみんな「ををっ」という感じだった。そのときの陽水がやけに楽しそうに歌っていた。なんだかカラオケで歌っているような気分なのか?とか思っていたら、NHKの「ハロー・グッバイ」という番組の中で昭和の歌謡曲をカバーした。
翌2001年1月「コーヒー・ルンバ」がシングルカットされ、ついには「懐メロ昭和歌謡」でアルバムを作ってしった。最初は遊び感覚だったのかもしれないが、さすがに完成度は高い。ただのカバー曲集で終わらせないところが、陽水らしい。というか陽水が歌えば、ただのカバーにはならないということの証明か。
昔アラブのえらいお坊さんが
恋を忘れた哀れな男に
陽水はこの歌詞がえらく気に入ったようで、“笑っていいとも”に出たときに「なんだかすごいでしょ?」と語っていたのを覚えている。“聞茶”のCMに「花の首飾り」が使われ、本人もCMに出演した(そのとき見せた台湾茶の入れ方を忘れてしまったことが後々判明)。
私は「花の首飾り」と「旅人」が好きだ。「花の首飾り」のアレンジは美しい。「旅人」はギターのシンプルな響きがいい。
ちなみに、オリジナル(日本での?)を歌ったアーティストは以下のようになる。「螢の光」と「月の砂漠」はスタンダードなので省く
- 「コーヒー・ルンバ」西田佐知子
- 「花の首飾り」ザ・タイガース
- 「旅人よ」加山雄三
- 「銀座カンカン娘」 高峰秀子
- 「サルビアの花」ダ・カーポ
- 「東京ドドンパ娘」渡辺マリ
- 「ウナ・セラ・ディ東京」テレサ・テン
- 「嵐を呼ぶ男」石原裕次郎
- 「誰よりも君を愛す」松尾 和子/和田弘とマヒナスターズ
- 「ドミノ」ペギー葉山
- 「星のフラメンコ」西郷輝彦
「サルビアの花」は早川義夫の曲だったのか。作詞は違うけど、なんだからしい感じの情けない詩だ。裕ちゃんの「嵐を呼ぶ男」では陽水のあの台詞が聞ける。
最後に「ショッピング」に収録したばかりの「手引きのようなもの」をあらためて録音し直して、唐突に入れているところをみると、よほどこの曲が気に入ったのか、それともアレンジが気に入らなかったのか。良い曲だと思うので、前者なのだろう。
2001.5.25
作詞 | 作曲 | 編曲 | ||
1 | 蛍の光 | スコットランド民謡(訳詞:稲垣千穎) | スコットランド民謡 | 星勝 |
2 | コーヒー・ルンバ | J.M.Perroni(訳詞:中沢清二) | J.M.Perroni | 星勝 |
3 | 花の首飾り | 菅原房子(補作詞:なかにし礼) | すぎやまこういち | 星勝 |
4 | 旅人よ | 岩谷時子 | 弾厚作 | 星勝 |
5 | 銀座カンカン娘 | 佐伯孝夫 | 服部良一 | 星勝 |
6 | サルビアの花 | 相沢靖子 | 早川義夫 | 星勝 |
7 | 東京ドドンパ娘 | 宮川哲夫 | 鈴木庸一 | 星勝 |
8 | ウナ・セラ・ディ東京 | 岩谷時子 | 宮川泰 | 星勝 |
9 | 嵐を呼ぶ男 | 井上梅次 | 大森盛太郎 | 星勝 |
10 | 誰よりも君を愛す | 川内康範 | 吉田正 | 星勝 |
11 | ドミノ | J.Plante(訳詞:音羽たかし) | L.Ferrari | 星勝 |
12 | 星のフラメンコ | 浜口庫之助 | 浜口庫之助 | 星勝 |
13 | 月の砂漠 | 加藤まさを | 佐々木すぐる | 星勝 |
14 | 手引きのようなもの | 井上陽水・奥田民生 | 井上陽水・奥田民生 | 今堀恒雄・星勝 |