- 夢の中へ:TRICERATOPS
- 東へ西へ:布袋寅泰
- 心もよう:平原綾香
- リバーサイド ホテル:奥田民生
- いっそ セレナーデ:小野リサ
- 限りない欲望:Bank Band
- カナリア:ジェーン・バーキン
- 傘がない:UA
- いつのまにか少女は:持田香織
- とまどうペリカン:松任谷由実
- 白い一日:玉置浩二
- ワインレッドの心:DOUBLE
- ジェラシー:一青窈
- 少年時代:忌野清志郎
FOR LIFE 2004年11月10日 FLCF-4038
井上陽水のトリビュートアルバム。私の知る限りだと使い回しと言えるのはUAの「傘がない」くらいだと思われる。ジェーン・バーキンと持田香織は最近だから違うだろう。ここで録音された曲を自分のアルバムにも収録したのが、DOUBLE(同じフォーライフ)と平原綾香。
陽水の曲をカバーするアーティストは多い。フライングキッズと中森明菜が「傘がない」を、山崎まさよしが「夕立」「少年時代」を等々。トリビュートアルバムは歌い手が楽しんでくれないと、聞き手も楽しめない。若い人ほど楽曲に対して素直だが、中堅どころ(布袋と奥田民生)が少々気負い過ぎに聞こえる。松任谷由実や忌野清志郎クラスで確立されたアーティストはまた別格であることがよくわかった。また、全体的に女性の方が出来が良いのは、陽水が男だからそれだけ距離がおけるからかもしれない
- TRICERATOPS「夢の中へ」
- とても素直な編曲でいい。
- 布袋寅泰「東へ西へ」
- 懲りすぎ、やりすぎ。この曲は本木雅弘や町田康のカバーもあるから、気合い入ったのかもしれないが…。
- 平原綾香「心もよう」
- 陽水は非常にストレートに歌っているこの曲。平原綾香も予想よりはひねらず素直に歌っていて良い。あまり歌い込みが過ぎるとこの曲は演歌になりかねない危険性を孕んでいるから。アルバム(2004.11.25発売)にも収録。
- 奥田民生「リバーサイド・ホテル」
- わざわざ録音し直したというほどの出来ではない。
- 小野リサ「いっそセレナーデ」
- 原曲が好きだからというのもあるが、このトリビュートの中では2番目に良い。元がせつない曲なのだが、ふわっとした曲になり、全然違う楽曲になりました。歌もアレンジも、これくらい離れてくれると、すごくすっきりする。
- BankBand「限りない欲望」
- 桜井和寿も最近出したアルバム「沿志奏逢」でカバーしているが、まるでミスチルを聞いてからカバーしたかのようだ。
- ジェーン・バーキン「カナリア」
- 正直なところ、拒否反応を示す。アルバム「ランデ・ヴー」(2004.3.31)に収録。
- UA「傘がない」
- 2000年の年末にNHKで放映された「井上陽水ハローグッバイ」で歌っていた。その後、「あろは~aloha all casts presents 12 smile & pray」(2002.10.9発売)に収録されている。この曲はUAのアルバムには収録されていない。このトリビュートの3番目に好きだ。
- 持田香織「いつのまにか少女は」
- シングル(2004.10.20発売)を陽水自身がプロデュースしている。陽水自身は彼女を気に入っているとテレビでも語っていたけれど、この曲はあまりエコーきかせないで欲しい。
- 松任谷由実「とまどうペリカン」
- 御大がおいしいところを持って行った。元々女性の歌だから、良いと思うが、ちゃんと別の曲になっている。比喩的な意味ではなく、実際に音を変えている。「とまどうペリカン」は陽水自身によると、楽曲としては陽水のナンバーワンだ。が、惜しむらくはオリジナルのアレンジがすごく悪い。本人もそう思っているらしく、ベスト版やら何やらでいろいろアレンジを変えて録音し直している。自分が一番気に入っているアレンジはライブでしか聞けていない。松任谷御大も、これだけ変えるのなら、もっと思い切ったアレンジにしてしまってもよかったのではないか?
- 玉置浩二「白い一日」
- 玉置には今一つ合わないかと思ったが、出来る限りストレートに歌っている。彼はこういうところ、外さないのがやはりさすがか。陽水とはデュエットしているし、一緒に曲も作っているため、逆にそれがプレッシャーになるかという気もしたのですが、そういうものはちゃんと吹き飛ばしている。
- DOUBLE「ワインレッドの心」
- 自前の若い人においしいところをやらせてあげた感満載。DOUBLE「Life is beautiful」(2004.11.24発売)にも収録されている。
- 一青窈「ジェラシー」
- これは一青窈のアルバムには収録されていないようだが、フジTV「僕らの音楽」で歌ったそうだ。亡くなったお母さんが陽水ファンだったとか。
- 忌野清志郎「少年時代」
- このトリビュート、わざわざ買ったかいがあった。この曲が一番良い。アルバムの企画が発表された時は彼だけ曲が未定だったらしい(「帰れない二人」はさすがにやらなかった)。すっかり肩の力が抜けている。ただ、他の人がやったら許されなかっただろう。
2004.11.15