Luchino Visconti

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その他

シナリオ 失われた時を求めて
著者ヴィスコンティ,スーゾ・チェッキ・ダミーコ著
出版者筑摩書房/ちくま文庫
出版年1984.12.20/1993.8.24
ISBNISBN4-48-002766-1
感想

学生の頃、自分は海外文学の長篇には結構強いと思っていたが、それはものによるということに気付かされた。「戦争と平和」なら体力さえあれば充分楽しめるが、「チボー家の人々」は数頁で飽きてしまう。「魔の山」や「ヴィルヘルム・マイスター」といったBuildungs Romanならいけるけど、「失われた時を求めて」はどうしてかダメだった。というわけでこれはもう明らかにフランス文学が苦手なように見えるのだけど、「見せられたる魂」とかなら大丈夫。結局、細かいことを書き連ねて筋が進まないとダメで、しかもそれが哲学的なことならまだしも、マドレーヌがどうのと言われてしまうと、もう全然歯が立ちません、といったところか。あまり詳しく分析したことはないが、結局は単なる好みの問題かと。

ところでヴィスコンティは「失われた時を求めて」をどうしても映画化したくてシナリオを書いてロケハンまでしたということなので、ま、シナリオなら読んでみようかという気になった。これは原作確かにすごい。でも絶対読めないと思う。もううざったくて、うざったくてしょうがない。マルセルもモレルもシャルリュス男爵もいろんな意味でみんなうざ過ぎ。希望の光だったアルベルチーヌも結局ダメじゃん。これはもう肌が合わないとしか言いようがない。

でも、このシナリオを読む限り、ヴィスコンティの映画であれば見る気にはなっただろう。ヘルムート・バーガーのモレルなんて、本当に見たい。フォルカー・シュレンドルフの「スワンの恋」はDVDにならないだろうな、きっと…。一応見たかったんだがな。
2005.4.29


アンジェロの朝
著者ルキノ・ヴィスコンティ
出版者パルコ出版
出版年1995.2.10
感想ヴィスコンティの未完の小説。だいたい20代後半から30歳の頃、1930年~37年頃に書かれたものと推察されている。少年アンジェロと、家族の風景。少年と母親との濃密なというか、濃厚だが透明感のある鮮烈な関係が印象的。ヴィスコンティ作品の中の母親と言えば、愚かだったり(「ベリッシマ」)、強欲だったり(「地獄に堕ちた勇者ども」のイングリット・チューリン、「家族の肖像」のシルヴァーナ・マンガーノ)だったり、強欲の上、神経を病んでいたり(「熊座の淡き星影…」)という超ダメ母か、あるいは理想化されているか(「ベニスに死す」のシルヴァーナ・マンガーノ、「家族の肖像」のドミニク・サンダ)、極端なのだ。後者は自分の母親のイメージなのだろうが、前者はどうしてそう無茶な母親ばかりなんだろうな。いずれにせよ、母親の存在が希薄な作品もあるが(「山猫」)、全作品通して概ね母親というものを蒸しできない存在として位置づけていいと思う。
おそらく、本筋とは外れるのだろうが、食料品店の女主人ドロレスの話が面白かった。


シネアルバム ヴィスコンティのスター群像
著者梶原和男編
出版者芳賀書店
出版年1982.2.25
ISBNISBN4-8261-0087-6
内容ヴィスコンティ映画に出演した俳優のフィルモグラフィ。ヘルムート・バーガーを中心に、アラン・ドロン、シルヴァーナ・マンガーノなどがメインとなっている。だが、ヴィスコンティ作品では端役であっても意外に人気俳優もいたりして、細やかな記述がされている。


シネアルバム ヘルムート・バーガー 魔性の美貌
著者梶原和男編
出版者芳賀書店
出版年1983.2.15
ISBNISBN4-8261-0097-3
内容 






オムニバス

イタリア映画の監督たち―ヴィスコンティからベルトルッチ
著者梶原和男
出版者フィルム・アートシアター
出版年1983.12
ISBNISBN4-82610808-7
内容 






世界の映画作家 4 フェデリコ・フェリーニ/ルキノ・ヴィスコンティ(増補改訂版)
世界の映画作家
出版者キネマ旬報社
出版年1974.5.1
内容ヴィスコンティの世界(佐々木基一)
ヴィスコンティ論(増村保造)
ヴィスコンティ全自作を語る(+ドイツ三部作)
ヴィスコンティ・その人間(田山力哉)
ヴィスコンティの素顔(松江陽一)
シナリオ 揺れる大地
神とカトリシスムへの抵抗と自己顕示(清水千代太)
ナチズムの性格と老音楽家の美意識(滋野辰彦)