『KISS』連載から読んでいます。老舗料亭をつぐはずだった主人公が洋食シェフになり、彼女のつくるものがとにかくおいしそうで、掲載されるのを楽しみに読んでいました。サンドイッチもアイスクリームもおいしそう。
戦時中に短い結婚生活しか送れなかった主人公は戦後一人で生きていこうと懸命に仕事に励んでいたのに、15歳歳下の生意気な小僧と結婚する羽目になったのですが、老舗料亭に洋食シェフという設定がおもしろい。これからどんなお料理が見られるのでしょうか?
単行本で読むと戦後の時代背景、京都と大阪の気質の違い、古い建物の精密な絵と、たくさんの見どころをかかえた作品です。しかしながら、作品を最も魅力的にさせているのは、新進気鋭の女の人が描かれてること。コックとして一人前になろうとしてる主人公の料理を楽しむ姿もいいなと思いますし、GHQで物資補給に辣腕を振るう女性もそうです。夫や子供と離れ離れになっていて早く帰りたい一心で異文化を受け入れにくく、頑なになっていた心を溶かしていくところもいいですね。
料亭の行く末も気になるし、たくさんの料理を見たいし、すでに夫婦になっている二人の恋もどうなるか。長く続いて欲しい作品です。
礒谷友紀「ながたんと青とーいちかの料理帖」1巻
講談社 2018.7.1