昭和のくらし博物館の特別展「高野文子の描く昭和のこども原画展」に行ってきました。昭和の暮らし博物館という会場に合わせ、高野文子先生の作品の中から昭和のこどもを描いた原画を展示する企画です。
会場の昭和のくらし博物館は東急池上線久が原駅から徒歩8分。東急多摩川線の下丸子の駅からも同じくらいだそうです。駅からの道はわかりにくくはないですが、途中には目印がないので、調べておく必要はあります。閑静な住宅街の中にある、昭和に建てられた民家を利用した建物。入口から入ると左手に受付があり、ここで入館料500円をお支払いします。
会場建物の全体の構成は展示室案内にあります。玄関の戸をガラガラとあけて普通のお宅にお邪魔する感覚で自然と「お邪魔します」と声が出ます。そして当然のように靴を脱いであがります。展示室はこのページの「小泉智代記念室」の位置にありますので、お茶の間やお台所、お座敷を眺めて雰囲気を味わいながら進みます。後からゆっくり拝見しようと、気持ちは展示室へはやり、増築部分の2階にあがります。
展示室の中はこんな感じでした(展示風景/展示風景)。机の上に単行本が並べられ、原画の番号と一致させたしおりがページに挟まれています。このページの原画がこちらです、という意味で、とても親切です。
原画は22点、カラー8点、モノクロ14点です。内容は以下の通り。
(ネタバレになるので、これから行かれる方はここはスルーしてください。)
No | 作品名 | 収録単行本 | 頁 | 色 |
1 | 春ノ波止場デウマレタ鳥ハ | おともだち | 13 | カラー |
2 | 春ノ波止場デウマレタ鳥ハ | おともだち | 14 | カラー |
3 | 春ノ波止場デウマレタ鳥ハ | おともだち | 15 | カラー |
4 | 春ノ波止場デウマレタ鳥ハ | おともだち | 17 | カラー |
5 | 絶対安全剃刀 | 絶対安全剃刀 | 表紙 | カラー |
6 | おともだち | おともだち | 表紙・裏表紙 | カラー |
7 | しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん | しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん | 表紙 | カラー |
8 | 青い鳥 | 青い鳥 | 表紙 | カラー |
9 | 美しき町 | 棒が一本 | 7 | モノクロ |
10 | 美しき町 | 棒が一本 | 13 | モノクロ |
11 | 奥村さんのお茄子 | 棒が一本 | 147 | モノクロ |
12 | 奥村さんのお茄子 | 棒が一本 | 151 | モノクロ |
13 | 奥村さんのお茄子 | 棒が一本 | 161 | モノクロ |
14 | 奥村さんのお茄子 | 棒が一本 | 193 | モノクロ |
15 | 奥村さんのお茄子 | 棒が一本 | 195 | モノクロ |
16 | 美しき町 | 棒が一本 | 19 | モノクロ |
17 | 美しき町 | 棒が一本 | 21 | モノクロ |
18 | 黄色い本 | 黄色い本 | 33 | モノクロ |
19 | 黄色い本 | 黄色い本 | 43 | モノクロ |
20 | 黄色い本 | 黄色い本 | 45 | モノクロ |
21 | 黄色い本 | 黄色い本 | 31 | モノクロ |
22 | Tさん(東京在住)は、 この夏、盆踊りが、 おどりたい。 | どみとりー ともきんす | 121 | モノクロ |
今回の展示のポスターにも使われた「おともだち」の原画ですが、単行本がほぼ原寸大の大きさで、意外と小さいなという印象。裏表紙の女の子二人も展示されていました。カラー原画、美しくてため息が出ます。モノクロ原画は高野先生の独特のトーンの使い方、やわらかい線を堪能しました。
これら原画の額装のマット、もしくはマットボードと呼ばれる部分の布を高野先生ご自身で選んでつくられたそうです。
ガラスケースの中は新作の構想で途中で止まっているという「にっぽんのズボン」という作品についての展示でした。「日本の労働着―アチック・ミューゼアム・コレクション」(中村たかを著 源流社 1988.7)という本がきっかけで思いついたのだそうです。本の中にあった型紙をもとに実際につくってみたミニチュアのズボンや、登場するキャラクターの一覧などが展示されていました。どんな作品かというと「タイプの違った三人の女の子が登場し、自分の履いているズボンがいかに優れているかを自慢し合うというアクション・ラブコメ(?)」だそうです。
お裁縫がとてもお上手な高野先生ですが、お母様が和裁をされていたそうで、子どもの頃からお手伝いされていたのでしょう。
このペーパークラフトは展示室の下の談話室にあります。この談話室にはフェリシモから出ていた赤木かん子さんの絵本「火打ち箱」が紙芝居になっておかれていました。この紙芝居の中のペーパークラフトは高野先生がつくられたものです。
1階のお部屋に「昭和の暮らし」が再現されています。お台所やお茶の間をじっくり見た後、別の階段から2階のお部屋にあがります。ここでは企画展「楽しき哀しき昭和の子ども」が開催され、こちらの「山口さんちの子どもの部屋」も高野先生がつくられたものだそうです。
高野先生は現在大田区にお住まいだそうで、この「昭和の暮らし博物館」のお近くのようです。昨年もこの博物館でワークショップを開かれました。今回も期間中にワークショップが2回、トークショーが1回開催されます。
帰りがけに受付の中はショップになっているので立ち寄って手ぬぐいを購入しました。蔵だったような風情の建物でした。
会場:昭和のくらし博物館 東京都大田区南久が原2-26-19
入館料:大人500円/小学生~高校生300円
イベント(すべて受付終了)
◆トークイベント
10月21日(土)13:00~15:00「50年前 わたしのこども時代」高野文子さん×里村洋子さん(昭和のくらし博物館研究会員・新潟県在住)会場:鵜の木特別出張所/定員:100名/参加費: 1,000円(入館料込み)
◆ワークショップ―高野さんと昭和の手仕事をしよう!
10月29日(日)13:00~17:00「キモノ解きのつどい」
12月2日(土)10:30-14:30「障子張りと障子の切り紙づくり」
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