ゴロツキはいつも食卓を襲う―フード理論とステレオタイプフード50
福田里香、オノナツメ
太田出版 2012.4.23 ISBN978-4-7783-1313-5
ああ、そうそう。そうだよね。そういう感じだよね、というのが主眼なので、具体的にこの映画、小説、漫画のこのシーンに登場したという例はなくとも話は成立する。それがステレオタイプというものだから。
けれど、それでもやはりどの作品のどのシーンだったっけ?という気持ちが残るので、集まってみんなで「これはここにあった!」と持ち寄って、ワイワイやれたらいいなと思ったりもした。特に漫画に特化してやれたら楽しそうだ。
ステレオタイプというからには、誰もが共通してもてる映像なり物語なりシーンなりがないといけない。ということは、そういうシーンが出てくるのはみんなが見ているもの=ポピュラーなものになる。日本だとここに出てきたステレオタイプが頻出するのは時代劇と大映ドラマ、それから漫画なのでは?と思った。小説はポピュラーなのを読んでいないので、なかなか思い浮かばない。
実はこのオノナツメの絵が素晴らしくて、あえてカバーを外した中の表紙をおいた。この雰囲気は何かを思い出させる。アメリカンな、それもレトロな感じ...。後から福田里香インタビューを読んだのだが、やはりその通りだった。
1920年代のアメリカの雑誌『The New Yorker』などの1コマ風刺漫画、イラストの下に気の利いたひとことが書いてある、みたいなもの
そう、まさにその通り。オノナツメの絵にはレトロ感が漂うが、アメコミ風でもありBDでもあり、簡単には捉えられない個性がある。見てすぐに「オノナツメ」だとわかるというのは、やはりそれだけの世界観があるということだろう。すごい。