予告通り『Kiss Plus』(隔月刊)2010年7月号から冨貴美智子の連載が始まった。「冨貴美智子」のキーワードで検索すると、GoogleでもYahoo!でもこのページが一番上に出てしまうので、若干責任を感じて、続報をアップしておこうと思う。
6ページの短編が2本。今後も連作は継続するようだ。「もじょぶ」とは「文字JOB」で仏具メーカーの文字係が主人公。文字を書くのが仕事で、仏壇、香典等様々な場所に美しい楷書で文字を書いていく。28歳、独身女子が「漢字萌え」で仕事も私生活も漢字に捧げている様子が普通のOLの日常をベースに描かれている。悪くない。気になるのは、何故「文字JOB」か?ということ。この人は漢字が好きなだけで、平仮名は嫌い。文字じゃなくて「漢字JOB」じゃないか?語呂が悪いんだろうけど。
剽窃なんかしなくても、ちゃんとオリジナルのネタを持っている。「猫飼っていい?」にも主人公が文字を書いている姿がある。こういう仕事をしているか、身近にしている人がいたのだろう。絵もかわいいし、将来性を見込まれているのもわかる。
だが。
こんな滅多に更新しないようなブログで前回わざわざ取り上げたのは、他のブログでボロカス書かれていて、かわいそうだなという同情と、同時にこの剽窃っぷりが「あんまりだ」という怒りがやはりあったのだと思う。
剽窃した本人も悪いけど、佳作をあげて『Kiss』本誌に掲載してしまった編集はどうなのか。読者から盗作盗作言われてうんざりしていると思うが、「るきさん」を知らなかったのか、あるいは伊藤理佐氏の指摘を甘く見ていたのか、いずれにせよ、読者をなめている。受賞と掲載はせずに、この「もじょぶ」でデビューさせればよかっただけじゃないのか?と、この作品を読んで余計に思う。
今後の彼女のキャリアを考えると、剽窃を非難する記事がずっとネットには残ることになる。末次由紀の盗作問題だって、検索すれば一発だ。禊ぎは済んだみたいなことを言う人もいるし、「ちはやふる」の成功で忘れた人もいるかもしれない。でも、覚えている人は覚えてる。トレースの量の問題やそれまでのキャリアなど、冨貴美智子とは比較にならないけれど、「ちはやふる」レベルの作品を書かないとならないということかとも言える。
冨貴美智子も、この後もし大きく人気が出てもデビュー作が単行本に収録できないなどの後はひくだろうと思う。末次由紀の場合はキャリアも長かったため本人の責任は大きいが、見て見ぬふりをしていた編集に対する批判も出ていた。それより、この新人の方が編集の責任は大きいように思う。
私は一応今回だけはわざわざ『Kiss Plus』を購入して書くが、今後まで追いかけていくつもりはさすがにない(だいたい『Kiss』だって「のだめオペラ編」が載ってるときだけだし)。だが、漫画家として頑張って欲しいとは思う。