益田ミリももう40歳か。この人も立派なアラフォーの星になってる。たぶん私はこの人の漫画作品の方は全部読んでると思う。エッセイも半分くらいは読んでる気がする。確かに「すーちゃん」2冊は衝撃的だった。だからこれも読んでみたんだけど...
自然の様々な様相を語った言葉から人生を導く...。それってなんだかとってもオヤジくさくないか?。何でも人生を語ってしまうのは、一種の教条主義というか、理屈抜きで嫌い。だからそこはやはりどうしても、説教くさいなとかうざったいなと感じてしまう。作者の「どうよ、この台詞、ちょっとよくなくない?」みたいなのが押しつけがましい。
それよりもっと気になるのが、マユミちゃんとせっちゃんという35歳独身OLが悩んでいる仕事の人間関係。35歳にもなって、こんなことで悩んでいるのは、ちょっとどうかと思う。経理の人が締め切り間際に駆け込んできた伝票に文句言うなんて、10年以上経理一筋でやって来て、普通はもう諦めてる頃なんじゃないのかな?この人、結局ずっとヒラなのって、やっぱり仕事できないんじゃないの?あるいは大きな会社でいい待遇だから、そういう立場から抜けられないんじゃないの?とかつっこみどころ満載。でかい声の先輩にうるさいって言えないなんて、25歳まででしょ、そんなこと言ってられるの。いい人だろうが何だろうが、イヤミの一つ二つ言えなくて、どうするよ?
20代の子がこれを読んだらがっかりすると思う。10年経っても同じことで悩んでいるのかぁ...イタイなぁって思うでしょう。どうだろう?みんながみんな、そんなことないんじゃないのかな。いろいろ悩んではいるけど、こんなくだらない人間関係じゃなくて、もっと仕事の中身とかで悩んでると思うけどな。仕事のできる人なら、別のステージに行ってるはず。それとも普通のOLさんは35歳になっても、やっぱりこんなもんなのかな。だから「すーちゃん」なんかに比べると、「リアル」のレベルが低すぎる。少なくとも「すーちゃん」は店長さんだった。若い子の指導もうまかった。
そこがこの物語のコアな部分になっているのに変な話なんだが、実はそれ以外は楽しく読めた。
畑なんか面倒だから自分で作ったりしない。森の近くではなくて駅の近くに住む。翻訳の仕事に拘泥せず、自分ができることを何でもやる。そういう早川さんはいいと思う。早川さんみたいな友達がいたら、絶対引っ越さないで、と私も言う。カヤックもいいなと思うし。
それと、友達二人が宿泊代がわりに持ってくる手土産がいい。高くはないけれど、ちょっと気が利いている。
「つばめグリル」の「ハンバーグ弁当」
「サイゴン」の「揚げ春巻き」
「千疋屋」の「フルーツサンド」
「小川軒」の「レイズン・ウィッチ」
「デメル」の「バンブー」
「ちもと」の「八雲もち」
日本橋「日山」のすきやき用和牛肉
「うさぎや」の「どらやき」
すごい銘菓・名品揃いというわけではないが、いいとこついてる。半分くらいはお取り寄せできないから、本当に手土産で持って行かないと食べられない。私はデメルはバンブーよりオレンジピールだな、とか、私の大好きな八雲もちを知ってるなんて、さすがだなとか。そんなところがツボだった。
「35歳で独身で」よりはリアルの点では少しマシ?そう言えば、「何にでも人生を語るな!おまえはオヤジか?」と言ったのは秋月りすだったっけ。リアルでないなら、あれくらいファンタジックにしちゃった方がかえっていいかもしれない。