2015年9月19日(土)、神保町にある日本マンガ塾で開催されたヤマザキマリ&とり・みき「プリニウス」第三巻刊行記念トークライブが行われました。
日本マンガ塾
「プリニウス」第3巻
togetter まとめ
トークショーはまずお茶の水の名曲喫茶「ウィーン」の写真から始まります。ヤマザキマリさんは1984年、17歳のときにアルバイトをしていました。その職場の複雑な人間関係で作品が1本描けそうなほどだったといいます。そしてここを舞台にしたマンガを描こうとして出来たのが「ジャコモ・フォスカリ」だそうです。そのお話しはまたいつか伺いたいです。(名曲喫茶ウィーンは建物は残っているけど店は違う)
お茶の水 名曲喫茶ウィーン
名曲喫茶ウィーン つづき
(ヤマザキマリさんもスタカン好きなんだ。そりゃまぁあの時代のロンドンっ子は当然ですね。)
さて、「プリニウス」のお話。とり・みきさんとヤマザキマリさんのお二人の出会いは。吾妻ひでおさんが行く予定だったシチリアのコミックフェスティバルにとり・みきさんが行くことになったので、すでに知り合いだったヤマザキマリさんにシチリアに行くんだけど、というメールを出した。観光地や食事についてアドバイスをもらった。というのが二人が親しくなるきっかけ。
「テルマエ」の6巻の頃、スケジュールが詰まって、ちょうど最終回の2回前から、とり・みきさんにアシスタントに入ってもらった。とり・みきさんはちょうど連載が終わって一段落したところだった。とり・みきさんが描く背景の緻密さに圧倒され、これなら前から描きたかった「プリニウス」を一緒につくることが出来るのではないかと思ってもちかけた。
「マンガに背景は必要ない」と「漫勉」で東村アキコ氏と浦沢直樹氏が言っていたが、それは概ね正しい。ほとんどのマンガはキャラターが主で背景は従。背景を描き込み過ぎると物語を進めるスピードが落ちる。背景はキャラクターの邪魔をしてはいけない。今いる場所や時間を説明するだけでいい。マンガを学ぶ専門学校や編集者からはそう教わるし、それは間違いではない。
だが、「すべてのマンガが」というわけではない。例えば、つげ義春「ゲンセンカン主人」。背景がキャラクターと等価か、それ以上の意味をもち、物語を語る。「プリニウス」もそういう作品で、背景が非常に重要。毎回、話の方向性によって背景の描き方を変えたりする。緻密な背景が作品全体から出る陰鬱さを表現している。
マンガ家は作品によって背景のつくりかたを決めている。ストーリーに一番フィットする描き方を考えている。まったく背景のないマンガを描いたこともある(とり・みき作品が投影される)。だから「マンガというものは」と十把一絡げにしないで欲しい。「プリニウス」は読んでいる人が古代ローマの街中を行き来しているかのような気持ちで読んで欲しいと思って描いている。
「プリニウス」原画のデータをPhotoShopのレイヤーを隠しながら見せていただきました。
キャラクター=ヤマザキマリ、背景=とり・みき、が原則だが、そうとは限らない。進行の都合上、キャラクターと背景をセットでヤマザキマリさんが描き、背景とキャラクターをセットでとり・みきさんが描くこともある。
また、背景とキャラクターの順番だが、背景の上にキャラクターがのるのが多いが、キャラクター部分が多いコマはそれだと無駄な作業が発生してしまうので、最初にキャラクターを描いて、キャラクター部分マスクして背景を描くこともある。
最後に質疑応答が短くあって、サイン会。このところ、とり・マリライブにも行けてなくて、ヤマザキマリさんにお会いするのは、昨年の9月にお台場でのヤマザキマリ+とり・みき 魅惑のトーク&LIVEナイト! 「今夜はブワァーッといってみよう!」で1巻にサインしていただいた時以来です。その前に三原順イベントに行きましたが、あれはサイン会はないので。とり・マリ、サンバTシャツに着替えました。
このイベント、別のゲストで2回目以降があるそうなので、あえて苦言を呈します。
タイムテーブルが細かく、トイレに行く時間すら制限していたのに、結果的にかなり崩れています。だから、最初からあまり厳密にしなければ、たとえ多少押しても、まぁこんなもんだで済むと思うのですが、いかがでしょう?こちらへの要求が厳しいわりには、という印象です。
PCトラブル多数。PCを変えたらミラーリング出来ないのはありがちなことなので、多少仕方がないと思いますが、プロジェクターの時間制限があるとか、ノートPCを電源にさしておかないとか、ちょっと初歩的なミス。まずは複数種類のPCを使わない。PCを動かす人を限定する、が打ち合わせのないイベント時は安全です。全部パワポに載せてしまえば誰がやっても出来ますが、そこまで準備している暇がないことは往々にしてありますので。
整理番号順への入場だが、1から厳密にやる場合もあるが、「1~10番までの方、11~20番までの方」の方がスピーディです。
事前にきちんと質問を受けておいたのに、事前に選んでいる様子もなく、実際の質疑応答の時間もなかった。それでしたら、最初からなしにした方がこちらの方も納得します。