最近読んだ本、見た映画・芝居、聞いたCD

テレビ

2005年7月11日

シャーロック・ホームズの冒険 第14巻

シャーロックホームズの冒険 第14巻スペシャル:バスカビル家の犬 The Hound of Baskerville
■スタッフ
監督:ピーター・ハモンド
脚本:ジェレミー・ポール
ゲスト:クリストファー・タボリ(山本圭)/ネイル・ダンカン(大和田伸也)

これは恐ろしい危険な仕事となるだろう
―君が無事にベーカー街に戻ってくることを、僕は心から祈っているよ…

■紹介
ダートムアの旧家バスカビル家には代々悪魔の犬の祟りがあるという言い伝えがあり、館の主サー・チャールズがそれを暗示するかのように謎の死を遂げる。アメリカにいる甥のサー・ヘンリーが家督を継ぐことになり、ロンドンへやってきた。バスカビル家の医師モーティマーから依頼を受けたホームズはサー・ヘンリーに会い、危険な依頼であることを察知する。ホームズは他の事件で多忙であり、代わりにワトスンがサー・ヘンリーに同行して汽車でダートムアに向かった。
ダートムアはムーアと底なし沼のある田舎で、夜は薄気味悪く恐ろしいところだが、昼間は美しい自然を楽しめる土地である。駅に到着すると、警官が大勢いるので何事かと尋ねると、ムーアに凶悪な脱獄囚が逃げ込んだらしい。バスカビル家の館には執事のバリモア夫妻がおり、近くには昆虫学者ステープルトンやその妹ベリル、訴訟マニアのフランコランドなど住人がいる。
ワトスンは謎を解くべく、行動し、ホームズに手紙を書く。果たして、悪魔の犬の存在は?サー・チャールズの本当の死因は?

■感想
DVD-BOX2(現在は1と2が一緒になった完全版が出ていますが)は、1に比べると比較的地味な作品が多いのだが、これは例外。正典中4本の長篇のうち、最も人気の高い長篇だ。おどろおどろしい悪魔の伝承から始まり、骨相学や蝶の採集やら、なんだか不気味なムード満点。グラナダ版の良いところは、本物の美しいムーアが見られるところ。やっぱりいいなぁ、怖いけど。

正典ではレストレード警部が出てくるところも全部ワトスンがやってしまっているので、ワトスン・ファンにはたまらない活躍ぶり。ホームズより出番が多いのだ。今回の出色は隠れ家に現れたワトスンをホームズが自作のシチューでもてなそうとするところ。すごくまずそう。ワトソンは正直に「見るだけで充分だ」と言い、それを受けて「熱いとまだましなんだが…」と返す、その哀しそうな顔。グラナダ版のオリジナルで、最高なんである。

しかしあのセルデンのロボトミー手術はどういったら良いか。セルデンを放置しておくことへの言い訳としてグラナダ版で入れた処理なんだが、ちょっと気持ち悪いなぁと思う。凶悪な殺人犯は精神異常の判断が下され、ロボトミー手術を受けて今はもう無害なんですって、精神異常者に対する偏見というか対応がアナログすぎやしませんかね。もうちょっと「凶悪な殺人犯でも庇う姉がいるんだ」というところを、正典のようにしぶく書けないものかな。時間がないのはわかるんですが。

サー・ヘンリーと救い出されたベリルの再会のシーンの、一瞬嬉しそうな二人、その後の複雑な顔、という演出はよかった。とりあえず、人の奥さんだったわけで、サー・ヘンリーは騙されていたわけで。あぁよかったよかったと短絡的になれないのがよくわかって、よかった。しかし、ステイプルトンが一人でサー・ヘンリーを迎えて食事しているというだけで、ベリルが虐待されているとわかる、というところもちょっと無理がある。その前のステイプルトンとベリルの喧嘩のシーンを入れて欲しかった。ローラの存在も、もう少し会話の中で出てきているのだが、やっぱりちょっと突然すぎる。それからローラがステイプルトンには妻がいる件を初めて会ったホームズとワトソンから聞かされて、何の証拠もなく信用するところも無理があった。

結局この悪魔の犬は単なるリンを塗った巨大な犬だったわけですが、人を襲うようちゃんと訓練されているところが、すごいなぁと。昆虫学者にそんなこと出来るのか?みたいなことはたくさんあるんですが、あまり言わない方が良いでしょう。

(オススメ度:☆☆☆☆☆)

2005年7月 4日

シャーロック・ホームズの冒険 第13巻

シャーロックホームズの冒険 第13巻第23話:ウィステリア荘 Wisteria Lodge
■スタッフ
監督:ピーター・ハモンド
脚本:ジェレミー・ポール
ゲスト:フレディ・ジョーンズ(名古屋章)

「奇怪な」という言葉を、君ならどう定義づけるね?」
■紹介  ジョン・スコット・エクルズ氏はガルシアという男と知り合い、屋敷に招かれた。そこでサリー州のウィステリア荘を訪れるが、料理や給仕の態度もひどいもので、翌朝になってみるとガルシアの姿はなく、屋敷はもぬけの殻だった。この奇妙な出来事を解明するため、ホームズとワトソンを連れ、エクルズはウィステリア荘に戻る。  屋敷に到着すると、ガルシアは家から一マイルほどの沼地で撲殺体となって発見されたとサリー州警察のベインズ警部が告げる。エクルズはガルシア殺害の容疑者となっていた。この奇怪な事件をホームズはどう片付けるのか。

■感想
ホームズには警察に好敵手がいない。ポワロには親友のジャップ警部がいたりするのだが。本編に登場するベインズ警部はホームズも高く評価するキレ者だ。ベインズ警部が出てきた、ということには意味がある作品だが、その点以外ではちょっと、どうもなという今一の作品だ。原作の南米に対する蔑視感をかなり削っており、意味がわからなくなってしまっている。もちろん、やむを得ない処置だとは思う。最初からベインズがムリロの正体を知っていた、ということになっているので余計にじゃあ何故ホームズが出っ張ってくる必要性があったのかなぁとか思ってしまい、ちょっと興ざめなんである。
やっぱりホームズは孤高の天才でいて欲しい。理解者はワトスンとマイクロフトだけというのがいい。

(オススメ度:☆☆★★★)

第24話:ブルース・パーティントン設計書 The Bruce Partington Palns
■スタッフ
監督:ジョン・コリー
脚本:ジョン・ホークスワース
ゲスト:チャールズ・グレイ(久米明)

お前はその気にさえなれば、ロンドンきっての空き巣狙いになれるな―

■紹介
ホームズの兄マイクロフトは普段は自宅と役所とクラブ(ディオゲネス・クラブ)の間を行き来するだけで、それ以外の場所へ行こうとはしない。しかし、そんな兄がホームズのもとを訪ねて来る。地下鉄の線路脇で発見されたカドガン・ウエスト青年の死体から、重大な軍事機密、ブルース・パーティントン潜水艇の設計図が見つかったが、盗まれた10枚のうち3枚が行方不明だという。ホームズはマイクロフトの依頼を受け、調査を開始する。
盗まれたのはウーリッチ兵器廠からだが、鍵をもっていたのは二人だけ。そのうちの一人に会いに行くと、驚くことに今回の事件の責任を感じるあまり心労が募って、心臓の病で亡くなっていた。また、ウエストの死体に切符がなかったこと、列車から転落したにしては外傷が少なかったことから、ホームズは疑問を抱くが…。

■感想
冒頭、いきなりホームズが歌っている。これは中世音楽だそうだが、画像(NHKはカット)だけ見ていると、ちょっとぎょっとする。政府関係の書類がなくなる話は、他にもあって、似たような話だなぁとは思うのだが、このお話のポイントは列車の屋根に死体を落とし、そのまま運行してカーブで死体が落ちる、というところ。これは秀逸なトリックだろう。この時代ののんびりとした列車の運行なら考えられる。
オーバーシュタイン(なんてドイツっぽい名前…銀英伝か?)の家に忍び込もうとホームズが誘うと、ワトソンは最初は渋る。しかしホームズの説得に応じて承諾する。このときの一生懸命説得するホームズの姿はなかなか親しみがもてる。

(オススメ度:☆☆☆★★)

2004年4月 9日

やっぱり猫が好き 新作98

やっぱり猫が好き 新作98■ポニー・キャニオン 2004.4.7
■感想
初回限定BOX付きって何だろう?と思っていたらスペシャル5本を収めることが出来るボックスってことね。つまり、2001を買い直せと(怒)。

こういうことである。新作2001はすでにほぼ5000円も出して買っているのだ。それを通常のCDサイズで出しちゃったもんだから、新たにトールサイズで出し直しているのだ。それを買い直せと、ポニーキャニオンは言うわけだ。多少安いのはそういう訳なのだ。ふーん。はいはい。買い直しましたよ(思うつぼ)。


  1. やっぱり猫が好き 恩田三姉妹の京都大騒動編
  2. やっぱり猫が好き殺人事件
  3. やっぱり猫が好き 新作98
  4. やっぱり猫が好き 新作2001
  5. やっぱり猫が好き 2003

新作98の頃はまだきみちゃんが結婚したばかりだったようです。かやのねえさんもまだ本編の頃の面影が残ります。これが2001になっちゃうと、さすがにきついんだよね。

2004年3月14日

「シャーロックホームズの冒険」第12巻

シャーロックホームズの冒険 第12巻■2001.7.25 ハピネット・ピクチャーズ


銀星号事件 Silver Blaze
■スタッフ
監督:ブライアン・マイルズ
脚本:ジョン・ホークスワース
ゲスト:ピーター・バークワース(田中明夫)

「我々は想像し、そして仮定を立て、その裏づけを得たのだ!」
名馬銀星号が死んだ調教師を残して姿を消した。ダートムアの地を巡るホームズの想像力は事件の真実を描き出す。調教師を殺したのは誰か?そして銀星号は出走に間に合うのか!?

■紹介
レース目前に、本命馬銀星号が厩舎から消え、その調教師が近くで死体となって発見される。状況証拠から、事件当夜に不正情報を仕入れに来た予想屋の仕業と思われたが、現場を検分したホームズの推理は別の答を導き出す。馬の習性と想像力を駆使して、早くも銀星号の行方に見当をつけたホームズは、レース場ですべての真相を語る。

■感想
「プライオリ・スクール」の荒涼たる“ムーア”っぽさもよかったですが(ヒースクリフ…私よ、キャシーよ…みたいな)、この作品のダートムアの荒野の雰囲気も良いですね。「パスカヴィル家の犬」もダートムアでしたっけ。わざわざ当時のレースを再現しているあたり、なかなか頑張ってますね。

(オススメ度:☆☆★★★)

悪魔の足  The Devil's Foot
■スタッフ
監督:ケン・ハナム
脚本:ゲーリー・ホプキンス
ゲスト:デニス・クイリー(石田太郎)

「人間業でないとすれば、僕の手には負えませんな」
休養の地コーンウォールで、兄弟が狂い死ぬ。果たして殺人か、それとも人にあらざるものの仕業なのか。疲労を忘れ、命を賭してホームズは死の真相に近づく。

■紹介
休養を命じられたホームズは、ワトスンに付き添われコーンウォールにやってくる。しかしこの地でもホームズの下に事件は舞い込んだ。近くの館でトランプをしていた男女が発狂した死体で、あるいは発狂して発見される。ホームズはワトスンの制止を振り切り捜査を始めるが、程なく第二の殺人が起きる。それは先に死んだ女性の兄だった…。

■感想
コーンウォール半島の景色も見たことあるような気がします。ポアロだったっけかな?コカインとの決別を暗示するようなホームズの姿や、危険な実験から助け出されたホームズがワトスンに向かって「ジョン!」と思わず呼んでしまうところなど、見所の多い作品でしょう。ホームズの幻想風景も興味深いし、ホームズの休暇中の映像が、なんだからしくていいなと思うのです。
肝心の話の内容ですが、オカルトっぽい死に方をする事件では未知の凶器が発見される、という話は他にも出てきます。面白いんですが、ちょっと悲惨な感じです。ホームズ自ら実験するのは危険過ぎると思うんだけどな…。

(オススメ度:☆☆☆☆★)

「シャーロックホームズの冒険」第11巻

シャーロックホームズの冒険 第11巻■2001.7.25 ハピネット・ピクチャーズ


四人の署名 The Sign of Four
■スタッフ
監督:ピーター・ハモンド
脚本:ジョン・ホークスワース
ゲスト:ジョン・ソウ(川合伸旺)

「驚くべき体験だ…!」
若く清楚なメアリー・モースタンにワトスンがときめく。彼女に届いた謎の招待状に、ホームズは沸き立つ。莫大なる財宝を巡る、殺人と逃亡。そして裏切り。怪人物たちを追って、ホームズがテムズ河を疾走する!

■紹介
数年前に突如、行方不明になった軍人モースタン。その娘メアリの下に、未知の友と名乗る者から会見を望む手紙が届く。ホームズとワトスンを伴って出かけたメアリの前に、サディアス・ショルトーと名乗る人物が現れた。彼はモースタンの死と、そして彼女に与えられるべき財宝について語る。財宝を預かる兄を訪ねた一行は、宝の代わりに、奇妙な死に方をしたバーソロミュー・ショルトーの骸を目前にする。名犬トービィの力を借りて、犯人がランチを使って逃亡をはかったことを知ったホームズは、ベーカー・ストリート・イレギュラーズとアセルニー・ジョーンズ警部の協力で、テムズ河を逃げるスモールとトンガを追い詰める。捕まえたスモールが語った財宝の由来は、遠くインドに端を発する深い因縁であった。

■感想
過去の因果が今に報いの長編。正典でも長編第二作にあたります。さすがに気合いが入っているグラナダテレビ。ベーカー・ストリート・イレギュラーズは少年探偵団の走りだし、犬のトービィも大活躍。ショルトー兄弟の変てこりんさ加減や、義足の怪人スモールの恐ろしさといい、なんだか大人の読む推理小説じゃあないです。悪い意味ではないけど…。
悪いのは独り占めしようとしたショルトー少佐であって、モースタン大尉は高潔な人物だし、スモールも仲間のインド人たちとの約束を守ることを第一義に考えている男だという扱いは、勧善懲悪をわかりやすくした図ということなんですが、でもね、モースタンも囚人と組んで財宝の分け前にあずかろうとしたわけだし、スモールやインド人たちは人を殺してますからね。あまり少年少女向けのわかりやすい人物像というわけにはいかないでしょうけどね…。
問題はトンガの映像化でしょう。あれって人間ですかね?ひどいよなぁ…イギリス人ってのは現代でもアフリカ人に対してああなんですかね。ずいぶんと黒人が多い社会になっているので、そんな筈はないと思うのだけど。ああ、でもサッカーの試合中に黒人選手が侮辱されたりしてますね。サポーターのみならず、同じフィールド内にいる選手にもね。
ロンドンだけでなくて、マンチェスターやリバプール、ヨークシャーなどでもロケが行われたそうで、気合い入ってますな。しかしランチって小型汽船のことなんですが、迫力のある追走劇とは少々なりにくい乗り物かと。
正典ではメアリと結ばれるワトソンですが、ワトソンとホームズが別居しないこのテレビシリーズでは残念ながら「淡い恋心(ってトシかい)」で終わってしまいます。メアリの最初の訪問の後のワトスン「魅力的な女性だ」ホームズ「気がつかなかったよ」はそのまま少々いじわるなホームズの台詞なんですが、ラストのホームズ「気がつかなかったな…」は前に「君がそういう想いでモースタン嬢を見ていたとは」が入るような、そんな気がしました。

(オススメ度:☆☆☆☆☆)

> 「テレビ」の記事一覧