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音楽

2015年3月 5日

フィメール・コンプレックス 彼女が音楽を選んだ理由

Female Complex若干マイナーな女性シンガー18人をピックアップした本。Everything but the girlのトレイシー・ソーンが冒頭に取り上げられていたので買った。トレイシーについて日本語で書かれたものは珍しく、ましてや書籍に取り上げられることは、あまり見ない。貴重な本だ。

テーマが「彼女音楽を選んだ理由」なので、トレイシーがデビューする前の話が詳細に書かれてあって、マリーン・ガールズの結成前の話などは、私もここまで詳しくは知らなかった。できれば、ベンとの結婚、ベンの病気、双子の育児に奔走される日々、そして復帰。その辺もあるとよかったが、量の問題でやむを得まい。

あと一人、 Fairground Attlactionのエディ・リーダーも入っていたので、これもよかった。この人の事はよく知らなかったので。あとシャルロット・ゲンズブールは知ってるけど、他は知らない。一つ一つまずはYoutubeでも見てみよう。

トレイシー・ソーン(Everything But The Girl、Marine Girls)
キャシー・ラモーン(Vivian Girls、The Babies)
パム・ベリー(The Black Tambourine)
ロクサンヌ・クリフォード(Veronica Falls)
イザベル・キャンベル(Belle And Sebastian)
エディ・リーダー(Fairground Attraction)
ゾーイ・デシャネル(She & Him)
フランシス・マッキー(The Vaselines)
シャルロット・ゲンズブール
カトリーナ・ミッチェル(The Pastels)
リンダ・スターアリング(Ludus)
アリソン・スタットン(Young Marble Giants Weekend)
アメリア・フレッチャー(Talulam Gosh、Heavenly)
テネシー・トーマス(The Like)
カーティス・マッコール
クリスティーナ・モネ=パレエスィ(Cristina) 
ローズ・メルバーグ(Go Sailor、The Softies)
デプシー・ワイクス(Dolly Mixture)

「Female Complex 彼女が音楽を選んだ理由」
多屋澄礼著 DU BOOKS 2015.2.27 ISBN978-4907583361

Everything but the Girl Fan Site

2005年8月 3日

風都市伝説―1970年代の街とロックの記憶から

風都市伝説■著者:北中正和編
■書誌事項:音楽出版社 2004.5.20 ISBN4-900340-88-X(CDジャーナルムック)

■感想
1970年代初期の日本のポップスの話が好きだ。その理由は主にはっぴいえんどとシュガーベイブにある。その2バンド以外にも好きなミュージシャンは多い。南佳孝や荒井由実時代のユーミンでさえ、すごくいい。何より人数的には小さな集団だったミュージシャンたちの新しいものを作って行こうという意気込みが好きだからだろう。

この本ははっぴいえんどを看板にしていた風都市(法人名ウィンド・コーポレーション)という伝説の音楽事務所のお話である。松本隆の小学校時代からの友人だった石浦信三というはっぴいえんどのマネージャー兼風都市の中心人物ほか多数のミュージシャンたちの証言でつづる、1970年代の新しいポップスを作って行った人々のお話である。大貫妙子やユーミンは出てくるが、山下達郎は出てこない。ヤマタツは音楽的傾向は違うものの、基本的には大滝詠一のポップスオタク路線を継ぐ人なんだがな。南佳孝のデビュー作が松本隆プロデュース、全曲作詞なのは知っていたが、同じトシとは知らなかった…。

「風街ろまん」ははっぴいえんどの2枚目のアルバム名である。松本隆はいまだに「風待」と風街にひっかけたサイト名を使っている。そのくらい「風」の「街」ははっぴいえんどのイメージにしみついているし、松本隆の中で大事なものなんだろう。「風の街」は摩天楼の街だし、琥珀色だし、緋色の帆を掲げた船が停泊していたりするし、なんだか無茶苦茶文学的だったりするのだが、それこそが1970年代の東京だ、というのが私の中で出来上がってしまったイメージだ。

文中に繰り返し出てくるが、「シティ」という言葉にこだわるのは、やっぱり東京のお坊ちゃんたちの音楽だからなんだろうなぁ。松本隆ははっぴいえんど解散後、すぐに作詞家になったのかと思っていたら、一時慶応に復学してたっていうんだから。はっぴいえんど音楽的には細野晴臣・大滝詠一という大物をかかえながらも、骨格は松本隆がつくっていたのだなということがよくわかる本だ。

PAさえよかったら、もっと評価は違っていた筈だという言葉が繰り返し出てくる。そりゃそうだ。声さえ聞こえない、今のカラオケシステムより遙かに悪いPAじゃあつらい。1980年代初頭に多少PAをかじったことがあるので、少しはそのつらさはわかる気がするな。

ビジネスビジネスって言わないのはよかったけど、やっぱりつぶれてしまったのは、辛いことだったんだろうな。

2005年6月14日

松本隆対談集 KAZEMACHI CAFE

松本隆対談集 KAZEMACHI CAFE
松本隆対談集 KAZEMACHI CAFE■書誌事項:ぴあ 2005.3.19 ISBN4-83-561514-X

■内容
対談相手:
1.谷川俊太郎/2.桜井淑敏/3.林 静一/4.太田裕美/5.細野晴臣/6.佐野史郎/7.大瀧詠一/8.筒美京平/9.薬師丸ひろ子/10.藤井 隆/11.松 たか子/12.萩尾望都/13.松任谷由実/14.町田 康/15.妹島和世/16.是枝裕和

■感想
萩尾先生の対談が掲載されているので購入した資料だが、思いの外面白かった。もちろん、もともと私が「はっぴいえんど」のファンであるせいなのだが。

高校生の頃、遠いクラスの人で、名前と顔しか一致しない、そんな同級生のとある噂を聞きつけ、いきなり話しかけた。「あなた、はっぴいえんど、全アルバム持ってるんですって?」それだけでリスペクトしてしまうお年頃だったのだ。同時代でもないのに、熱心に聞いている人が自分のまわりに、自分以外にもいたことに感激した。

そんなはっぴいえんどファンにはたまらない組み合わせがいろいろと。大滝詠一は本当にやる気ないんだなぁ(笑)。細野さんに出てきて欲しかったんだが、まぁいいか。当時の記憶を一生懸命辿りつつ。

しかしウェブだけの企画で、これだけのメンツ呼べるっていうのもすごいんだが、何せウェブだからなぁ。お金を回収するのが本っていうのは、悪い戦略ではないと思う。ネットだったらこういうタイプの対談って読まなかったかもしれない。

2003年10月15日

ジョン・レノン・レジェンド

ジョン・レノン・レジェンド■書誌事項:河出書房 2003.10.9 ISBN4-30-926644-4
■感想
ジョン・レノンの伝記、インタビュー、評論類は1980年以後山ほど出ていて、日本で出版されているもので、おそらく30〜40冊くらいはあるのではないか?ビートルズものを含めると相当量に上る。80年代の間は結構追いかけていたのだが、そのうち同じネタの繰り返しになってしまい、目新しい物が次第に減って行った。ビートルズ本の方はずっといろいろと出てはいたものの、「アンソロジー」で一息ついた感もあった。
それなのに、今回これを買ってしまったのは、いろんなサイトや本屋でさかんに「予約予約」と言ってるのと、妙に値段が高かったので気になったのだ。買ってみてわかった。とりあえず、中身を見て。チケット、直筆歌詞カード、グリーティングカードほか「紙」の資料がほぼ見開きにつき最低1ヶはついてくる。ページ数にしたら100ページ以下。よほどのマニアなら「安い」と思うが、そうでもない人はがっかりするんじゃないかと思う。一応文章も入っているのだが、伝記的に目新しいものはまったくなく、既出の話のみ。だから、この紙類をありがたがる人じゃないと意味がない。
元々展覧会の企画本だったようだが、本として非常に斬新な試みであることは間違いなく、異常に手間暇かかりそう。編集者はさぞ作っていて楽しかっただろうし、印刷・製本屋は「なんじゃこりゃ」と言いつつ楽しかっただろう。だから、読者も楽しめる人じゃないと、意味不明な本になる。「なんでも鑑定団」で時々やる「紙くず選手権」になってしまう可能性もあっただけに、そうならなかったのは「直筆」ものが多かったからかなぁと思った。

2001年5月15日

はっぴいな日々

■書誌事項:ミュージック・マガジン 2000.7
■感想
何故今はっぴいえんどなのか、というと、単純に大滝詠一の「ロング・バケイション」のリマスターが出たから。もちろん邦楽CD第一号になったときも買ったんだけどね。
高校生の頃から「はっぴいえんど」は聞いていたが、残ってるCDと言えばベスト盤の「CITY」のみ。アルバム買ったっけ?レンタルだったような気がする。貧乏だったから…。3枚しかオリジナルないんだから、それくらい買えよと思う。買おう。
ナイアガラ関係やキャラメル・ママとか山下達郎のシュガーベイブなんかの話は日本のポップス創世記って感じで非常に面白い。はっぴいえんどもそうなんだけど、こいつら、ホント頑張ってたよなーという感じ。

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