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2019年8月

2019年8月29日

orange pekoe Sings songs from Organic Plastic Music

orange pekoe Sings songs from Organic Plastic Music2019.8.28 blue note tokyo
2nd 21:00~22:30

結成20周年を迎えた企画で、2002年に発表されたデビューアルバム「Organic Plastic Music」を演奏しようというもの。このところ、ほとんど2人だけのアコースティックでやってきてるので、バンドは久しぶり。それも本格的なジャズの演奏者を揃えて、ジャズクラブで行われるというライブ。

奇しくも表参道からのライブハウス。あの頃、私は表参道と外苑前の真ん中あたりにある青山通り沿いの企業に勤めていた。表参道にこのカンバラクニエ画伯作のイラストがでかでかと掲げられていたのを覚えている。期待の大きさがわかる。

実はブルーノート東京初めてだった。外国人アーティストが多く、これまで機会がなかっただけではあるが。ビルボード東京やモーションブルーと違ってカウンターがないので一人では行きづらいなと思っていたら、後ろの方にちょっとだけあった。

blue note tokyo 21stアルバムはこれまでのライブでもよく聴く曲も多いが、あの驚異的な打ち込みのアルバムを生で、それもジャズアレンジでというので期待していた。少しテンポを遅めに、でも一馬くんのギターとドラム、ピアノ、ベース、それぞれちゃんと戦っていて、自ずと音に集中してしまう素晴らしいライブだった。特に「アダジオ」のピアノや「ONE AND ONLY DAY」のドラムス。トモジも一馬くんも鍛えられてきたんだなぁと感慨深い。トモジ、やっぱりパワーアップしてる。

それにしてもこのアルバム、やはり名盤で名曲揃いだなと思う。とてもいい夜だった。

blue note 内部v:ナガシマトモコ
g:藤本一馬
p:林正樹
b:西嶋徹
ds:斉藤良

セットリスト
1.愛の泉
2.サンクチュアリ
3.bottle
4.アダジオ
5.12ヶ月
6.ONE AND ONLY DAY
7.太陽のかけら
8.やわらかな夜
9.LOVE LIFE
en1. tiny, baby
en2. Happy Valley

orange pekoe Sings songs from Organic Plastic Music LIVE REPORT(Blue Note Tokyo)

2019年8月18日

Tokyo Music Cruise 2019 2日目

日時:2019.8.17(土)
会場:ザ・プリンスパークタワー東京

●Salyu(BALL ROOM)
とても良い声で切々と歌うアーティストだなと思った。でも、私はどうしてもジャズだったりボサノバだったりする方が好きだし、もしくはもっとポップな感じなら好きだけれど。そもそも小林武史の縄張りの人は私の好みからは少しはずれるということを再確認。八代亜紀のところで追加したが、スローライフな感じのフェスでピリピリしているところを見せられて残念。本人たちのせいばかりではないとは思うけれど。

Tokyo Music Cruise 2019 2日目●畠山美由紀(BALL ROOM)2001~
私はbirdと同様、この人も冨田ラボの「Shipbuilding」で知ってから時々聴いているアーティストなので、初ライブ鑑賞で嬉しい。ソフトな声にふわっと包み込まれるような曲が好き。一歩間違うと、ちょっと情緒過剰ぎみになってしまうので、そこを押さえてくれる曲の時がいい。去年出した「Wayfarer」は気に入ってる。聴いていて安心できる女性ボーカリストの一人。

1. I Can't Go For That (Hall and Oates)
2. ?
3. 時の流れに (Paul Simon)?
4. 輝く月が照らす夜
5. ?(Joan Gillbert)
6. BLINK
7. 罌粟

Tokyo Music Cruise 2019 2日目●八代亜紀&村上"ポンタ"秀一(BALL ROOM)
おそらくこの日ボールルームは一番盛り上がったのではないかと思う。八代亜紀がジャズアルバムを発表してからもう随分経っているので、こういうフェスに登場することの意外性は薄くなっているが、TMCは初めてとのこと。

小西康陽プロデュースの「夜のアルバム」から「五木の子守唄~いそしぎのメドレー」。これをポンタさんがおもしろがっていたという話。民謡とジャズ、メロディラインが本当によく似ている。銀座のクラブシンガー時代に歌いたかったけれど先輩に遠慮して歌えなかったという「サマー・タイム」。「夜のつづき」から「フィーバー」。この曲は難しい難しいと八代亜紀が言ってたけれどその理由が聴いてわかった。演歌はあくまでも歌が主。ほかは「伴奏」だが、ジャズは楽器との絡みがメイン。ジャズシンガーは歌をリズムにのせていくことが重要で、ジャズバンドを従えただけで演歌のまま歌っている、というわけでは決してないことがよくわかった。

ボールルームの音響にトラブルがあったのかどうかはわからないが、Salyuのときにギタリストが演奏中しきりに「あげて」という仕草をミキサーに送っていた。Salyu本人も途中でちらとそういう仕草を見せていた。多分モニターの音量が低くて演奏が聞こえなくて演奏しにくいのだろうと。でも音量を上げるとハウるし、限界なんだろうなという印象(一日目はそういう人も見かけなかったけれど、全部見たわけではないので不明)。

この日、ポンタがリハで同じことを言っていたのだろう。八代亜紀がミキサーにふんわりと指示をしているのだけれど、その感じがとてもよかった。キャラクターと言えばそれまでだが、ステージを仕切ってる風格がある。同じ仕草でも全然違う印象。私にとってSalyuの印象は「ギタリストが神経質だった」しか残っていない。

●アン・サリー(BALL ROOM)2001~
TMCは5年連続。お医者様で2児の母。派手な活動はしていないけれど、ぽつぽつとアルバムを発表して、ライブも最近では結構やってるので随分とお子さんの手が離れたのだと思う。きれいな歌声を聴かせてくれて、ステージもマイペースでゆったりとしていて、いい感じでした。でも申し訳ないけど、この日の私のメインは次なので、終了までいられなかった(連れが気付いたのですが、このステージ衣装で靴下を履いているということは冷え性なのかな?お気を付けて)。

Tokyo Music Cruise 2019 2日目●orange pekoe(MELODY LINE)2002~
こうやって他のバンドのステージと続けて見ているからそう感じたのか、とても盛り上がったように思えた。イマイチ確信が持てなかったが、連れが「盛り上がりが他のバンドと違う」というので、間違いない。特に男性ファンが多いように感じた。それはどちらかというと一馬くんのファンなんじゃないかなぁという気はした。

私にはいつものオレペコなのだけど、やっぱり他の女性ボーカリストと比べてもトモジのパワーがグレードアップしたように思える。こういうところでいつもの好きなバンドを聴くのもいいものだと、あらためて思った。

orange pekoeはこの日のMELODY LINEの最後のステージだが、まだBALLROOMには一つバンドが残っている。複数バンドが出るフェスではステージの進行上アンコールはあり得ないのだけれど、この日のオーディエンスはその辺のさじ加減がわかっていて、「アンコール」の声がかかる。びっくりしたトモジがスタッフに確認すると「×」が出て、いったん帰りかけたところで「○」のサインが出て、アンコールを急遽演奏することになった。予定になかったので最初ちょっとミスったけど、映画「ダンスウィズミー」で使われている「Happy Valley」を。

1. 太陽のかけら
2. Foggy Star
3. Selene
4. やわらかな夜
5. FLOWER
en. Happy Valley

これで2日間のTMCのラスト(私にとっては)。2日間よかったです。

まとめていうと、私が2000年前後にデビューした女性ボーカリストが好きなのは理由があって、ちょうどこの頃から新しい日本のバンド・アーティストを聴くようになったからだ。1980年代いっぱいまでずっと洋楽メイン。日本のポップスははっぴいえんどをベースに聴いていたけれど、多くはなかった。1990年頃から約10年、全然新しい音が入ってこなくなって、おそらく音の許容範囲がオーバーしてしまったのだと思う。2000年頃になってようやくそれまでの音の記憶が抜けて、あたらしい音が入って来る余地が出来てきたのだろう。

それで、ちょうどデビュー20周年くらいの女性ボーカリストで好きな人が多く、このフェスの出演者が一致する。今回、一人も男性ボーカルを見ていないし、そもそも出演者に少ない。

最後にアンケートに書こうかと思ったけど、演奏中にカクテルのシェイクの音が入るのは何とかならないのかなぁ。静かな曲のときは気になるのです。

2019年8月17日

Tokyo Music Cruise 2019 1日目

Tokyo Music Cruise 2019日時:2019.8.16(金)
会場:ザ・プリンスパークタワー東京

前々から行きたいと思っていたTokyo Music Cruise、今年は思い切って行ってきた。若い頃はフェスも行ったけど、好きなバンドが出てくる時間の短さとチケット代からのコストパフォーマンス、暑さや音響などの環境が私にはどうにも耐えられないことが経験として植え付けられてしまい、ずっと長い間行く気になれなかった。ところがこのフェスはホテル内で涼しいし、何より好きなバンドが複数出てくる。今年は思い切って行くことにした。予想以上に楽だったし、楽しかった。私が積極的に聴きに行った人はにデビュー年を添えてみる。

●paris match(BALLROOM)2000~
こういう複数アーティストのライブだと、たいていデュオとかバンド編成でも最少人数になるのが通例なのだが、この日のparis matchはほぼフルに近いメンバーを揃えてくれた。「トップバッターだから派手に」と言ってくれていてありがたい。せっかくだから「これがparis matchだ!という派手なナンバーを演る」との言葉通りで、以下のセトリ。Desert Moon」はこれもまた初期の名曲ですが、こんなのもやってましたよっていう意味なんだろうな。BasiaのDrunk on loveの掛け合いボーカルがとてもよかった。私はとても黒沢さんが好きなので。後から気付いたのですが、バースデイライブでも歌ってましたね。

TOKYO MUSIC CRUISE  2019 BALL ROOM1. Sand Storm
2. Killing You
3. Desert Moon
4. Drunk on love(Basia)
5. Saturday
6. 太陽のKISS
7. 虹のパズル

●akiko(MELODY LINE)2001~
ジャズシンガーのakiko。この前のparis matchでミズノさん(with 堀くん)の3人でこのMELODY LINEでデュオコンサートをやると発表があった。今年2回目だそうで、TMCに行くことを決めてから初めてサブスクリプションサービスで聞いたけど、本格的なジャズシンガーで、なかなかいいなと思った。このライブもカバーがやっぱりいいなぁと。ジョアン・ジルベルトの「三月の水」をジルデコのchihiRoさんとデュエットしてた。このときは完全に立ち見。

●土岐麻子(BALLROOM)1997~
私の中で、この人はかなりメジャーの部類に入る。ヒット曲も多いし、タイアップも結構ある。ソロになってからしか知らないけど、ずっと変わらないかわいい歌声。矢野顕子系、だけどもう少しオシャレでポップという位置づけ。TMCも5年連続なのではないかと思う。

新しいアルバムがもうすぐ出るそうだけど、2018年の「Safari」はわりと聴いた。「mellow yellow」はやってくれたな。あと、シングルの「picture frame」は友達の結婚式用につくった曲だけど、気に入ってシングルにしたそうだ。

Tokyo Music Cruise 2019 park stage 昼●草薙さゆり(PARK STAGE)
そろそろ外に出たかった。台風の影響で風は強かったがまだ少し暑い。下に敷くシートを配ってくれるので助かる。外からも入れる公園なので混ざってくることは可能。犬の散歩をする人と一緒になっていた。Hanah Springの時間では演奏しているバンドの中に犬が紛れ込んで、飼い主さんが必死で追いかけていた。お約束のような光景。

●PUSHIM(BALLROOM)1999~
2013年にego-wrappin'とのコラボで「HEAT feat. EGO-WRAPPIN'」をリリースしたことくらいしか知らなかった。ジャパン・レゲエのトップシンガー。私は大阪弁で喋る女性シンガーに好感を覚えるところがある。

Tokyo Music Cruise 2019 夕方●Hanah Spring(PARK STAGE)
夕方から夜になる時間帯の東京タワーはいいよと教えられていたので、タイミング的にちょうどよく行った。強風もおさまり、ちょうどいい風と気温。赤く染まる東京タワーから闇に落ちるまでをずっと見ていた。

●Jill-Decoy association(MELODY LINE)2006~
田島貴男は食事のためにボールルームに戻ったときにちらっと見ただけで、残念ながらちゃんと見てない。出来るだけ早くMELODY LINEに行かないと場所が確保できないから。それなのに「田島貴男さん見ましたか?」はないよ、chihiRoさん。

Tokyo Music Cruise 2019 夜久しぶりのジルデコのライブ。行きたいと思いつつ、都内や横浜のライブは平日が多くてなかなか行けていません。chihiRoさん、きれいだしMCもうまいのでTMCは出ずっぱり。赤いワンピースがとてもよかった。

1.Garden
2.Switch
3.接吻(with 傳田真央)
4.耳元にいるよ(with 傳田真央)
5.I Say

Tokyo Music Cruise 2019  メンバー●bird(MELODY LINE)1999~
ジルデコの後、そのまま居座ってbird待ち。そういう人が多かった。

9:25~の間結構間があったので、樋口さんのギターチューニング~練習~bird入る~の流れで3曲もやってくれた。時間的には15分くらいあった気がする。「練習練習」言いながら、ほぼ本番でした。始めてしまうと楽しくて本気になっちゃう、とのこと。楽しかった。樋口さんもparis matchの時は寡黙なギター職人のくせに、birdと二人のときはよく喋る。たぶん、彼女の気楽さみたいなものがそうさせているのだろう。

練習から入ったせいもあるけど、この日、ライブとしてはbirdが一番楽しかった。本当に一体感があるライブだった。たぶんこの人のパーソナリティだと思う。前述したように女性シンガーで関西弁を話す人に好意的な傾向がある。その中でもこの雰囲気を作り出せる人はなかなかいない気がする。何より音楽を奏でている間、私に自然とほかに何も考えさせない。わりと要らないことを考えてしまって集中できないタイプなので、ちょっと驚いた。

私はbirdは冨田ラボ(「Shipbuilding」の「道」)から入ってるので、最近の3枚のアルバムは好きだ。「BREATH」「Lush」も、最新の「波形」も。樋口さんのギターもだけど、私には馴染みの深い気持ちのいい音づくり。TMCはparis matchとorange pekoeなんだけど、ジルデコ加えた過去にライブ行ったことがある3バンド以外では「bird」というのは一番見たかったアーティスト。見て思ったけど、やっぱりライブ行きたいなぁ。