地中海式人生のレシピ
物語は公式サイトのSTORYを参照。WOWOWで放映されたときは間に合わなかった(「ブエノスアイレス恋愛事情」の方は間に合った)。
スペインのロマンチック・コメディ。破壊力満点のハチャメチャな映画。たまにはこういう映画を観て元気をもらって来るのもいい。若い女性も、妙齢の女性も同様に。
欲張りであり続けること、情熱を持ち続けること、真摯な努力を続けること。そうすれば、一見、人の道に外れていたとしても幸福になれるのかもしれない。幸福を捨てて「普通」になろうなんて、確かにおかしい。何とか道は開いていくのかもしれないなと。非現実的ではあるけれど、とりあえず、そんなことは気にしない。テンポ良く、わかりやすく、楽しめる作品だった。
以下ネタバレですので、観ていない方は読まないで下さい。
ソフィアがフランクの店でまだ料理を完全に任されたわけではない、修行中のレベルだったにもかかわらず、子供が出来たらあっさりトニの元へ帰る。その後3人の子供を産んで、それでも料理への情熱を捨てられず、料理の修業をするように言うフランクの誘いに乗るときも子供を連れている。子供をおいて自分だけ行くことも出来た筈なのに、それはしない。「経済的に不安定だから、連れて行った方が子供のためによくない」とおいていく母親が多いのに、ソフィアは「母親と離れてはダメだ。あなたも寂しかったでしょう?」とフランクに言う。私がこのハチャメチャな女性にシンパシーを覚えられたのはこの「何があっても子供が優先」という姿勢を見せてくれたおかげかなと思う。
あと、長男がフランクの子だと知っていたのに、トニの元へ戻ったのは何故か。そのままフランクにあなたの子だと言えば良いだけだったのに。理由としては、<1>その段階ではトニの子だと信じていて、生まれてからフランクの子だとわかった。<2>フランクの子だとは知ってはいたが、フランクは自分の才能だけを観ているから、父親にはふさわしくない、結婚の相手ではないと思ったから。<3>トニの方を信頼していた、あるいはトニの方を愛していた。
これらのいずれなんだろうか。多分<1>なんだろうな、とは思うが、一番しっくりくるのは、実は<3>です。
三人の中ではトニが一番カッコイイ。「二人とも戦っていないが、オレは戦った」という通り、彼が一番この関係を維持するのに苦労して、耐えているわけです。それもこれも妻を愛しているから出来たこと。それなのにフランクとソフィアは一度はこの関係を諦めてしまった。トニのこと、最初は妻の望みが何か、妻の才能がどこにあるかさっぱりわかっていない愚鈍な夫だったのが、妻への愛故かどんどん成長していく姿はよかった。
もちろん、仕事には情熱をもっていたけれど、女性に対してはただのプレイボーイだったフランクがソフィアに本気になって、トニを裏切れないと思うところから、変わり始めていく姿も好感が持てた。
しかし、ソフィアの欲張り具合はなかなかのもの。「諦めたらそこで試合終了」という映画でした。まずは望んでみなくては。
公式サイト:http://actioninc.luna.weblife.me/dieta/
監督:ホアキン・オリストレル
脚本:ホアキン・オリストレル、ヨランダ・ガルシア・セラーノ
音楽:ジョセ・マス、サルバドール・ニエブラ
主演:オリビア・モリーナ、パコ・レオン、アルフォンソ・バッサベ、ほか
原題;Dieta Mediterranea
2009年 スペイン