映画 プール
初日、舞台挨拶を見て来た。もたいさんと小林聡美の掛け合いは、生「かやのねーちゃんときみちゃん」みたいでちょっと嬉しい。初日舞台挨拶なんてチケット争奪戦があるせいか、加瀬くん目当ての若い女の子ばかりだ。しかもチュニックとか、ストールとか、なんかナチュラル系って言ったらいいのか、そんな感じの女の子。アラフォーの星、小林聡美を見に行く世代は、もうちょっと公開後に行くのか。それにしても観客は99%女性。「かもめ食堂」「めがね」と、このシリーズは男性を連れて行っても、絶対喜ばれない。
さて、映画の方だが、もっとゆったりとした感じで時間が流れるのかと思っていたら、意外とパキパキとシーンが変わり、話が進んで、気付いたら、あれ?もうおしまい?という感じで「めがね」よりは遙かに物語もあるし、テンポも良い。
「かもめ食堂」の良さは私はあのクリヤな画面及び音で作られた食堂シーンだと思うので、それに比べると画面がきれいではないし、音も鮮明ではない。撮影は1~2月頃だから仕方がないのかもしれないが、陽の光が感じられない。終始曇っているのか?と思えるほど鮮明さがない。北欧でも南の島でもないが、一応リゾート地で、「プール」が主役なのに、青も緑がクリヤじゃなく、田舎っぽい画面にしている。これは観光映画にしたくない、という意図的なものだとは思うのだが、正直ちょっとがっかりした。
小林聡美は「(娘を自分の母親に預けて海外で働くなんて)女性の共感を得にくい役じゃないか」と言っていたが、おいてきた時点で12歳とか、せいぜい15歳なら「そうかもね」と思うが、18歳の時点だから、「別にいいんじゃないの?」という気がする。大学4年の娘が「一緒にいて欲しかった」なんて、甘え過ぎ。地方から大学入学で上京してくる年に、何言ってるんだか、という感じがしてしまう。
原作では何故娘が母を訪ねる気になったのか、何故「一緒にいて欲しかった」と言うのかがわかるのだが、映画では触れられていないからそう感じるのだ。それでも「あなたを知っているから(おいてきても大丈夫だと思った)」とか「一緒にいることがすべてではない」みたいな母親の発言に反発し、率直に気持ちを伝える娘も悪くないなと思う。それに対し、返事に窮して、ストールに刺繍を始める母も、またよし。
「かもめ食堂」「めがね」と雰囲気が似ているのは当然としても、基本的にテーマはいつも近い。血のつながらない人たちの家族のような心地よいつながり。それはリアルではないけれど、日頃のストレスを思うと、そんなのもあってもいいかなと思わせる。誰もが真実を突きつけられる映画が見たいわけじゃない。
ゲストハウスのリビングが開放的で、すごくいい感じなんだけど、残念ながら上手に撮れているとは言い難い。ああいう場所はもっと明るく清潔感が感じられた方が良いと思うのだけど、もう一度DVDが出たら見直してみようと思う。
帰り道、連れの「台風が来たらあの家財道具どうするんでしょ?」という質問に対し「チェンマイに台風は来ないんじゃないの?」とかいい加減なこと言って、スマソ。チェンマイにも台風は来るらしいよ。
■監督・脚本:大森美香
■原作:桜沢エリカ(「プール」)
■音楽:金子隆博
■出演:小林聡美/加瀬亮/伽奈/もたいまさこ
■公式サイト:http://pool-movie.com/