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2009年7月

2009年7月21日

世界の測量―ガウスとフンボルトの物語

世界の測量 ガウスとフンボルトの物語ガウスとフンボルト…ドイツ人ってどうしてこう偏屈で頑固で偏執狂的なんだろう…の中でも特にすさまじくひどい二人。大笑いさせてもらいました。

二人とも自信家で高慢で他人にはどうでもよさそうなことに執拗にこだわり、正確さを求める。けれど一方は世界を旅し、一方は国内から出ようとしない。一方は女好きで一方は女嫌い(というかゲイですが)。一方は交渉ベタで一方は交渉上手。ひどく似通っていて、それでいてひどく違うこの二人が同時代人であることから、こんな面白い冒険譚を思いついたのだろう。

フンボルトがアマゾンのジャングルでも高山でも制服を脱がず、「鉱山試補」という肩書きにこだわっているところは、うっとりするぐらいドイツ人っぽい。「ドイツ的である」というところがこの物語のテーマの一つだろうと思うのだが、実際のところ、現代のドイツ人もそうなんだろうか。私がよく本で親しんでいるドイツ人はこの時代のドイツ人、19世紀末頃のドイツ人なので、現代人はそんなこともないのだろうと思うが、ベストセラーになったところを見ると、そうでもないらしい。典型的なドイツ人のカリカチュアとして国内でもヨーロッパで受けたような気がする。

ドイツ初の冒険小説という人もいるが、このジャンル、ドイツの古典的な教養小説の流れを汲んでいるので、まさに偏執狂的「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」なのではないかと思われる。

それにしてもフンボルトのスケールの大きさは楽しくてしょうがない。オリノコ川を遡る旅のあたりが一番気に入っている。

■著者:瀬川裕司訳
■書誌事項:三修社 2008.5.23 334p ISBN4-384-04107-1/ISBN978-4-384-04107-1
■原題:Die Vermessung der Welt. 2005, Daniel Kehlmann


2009年7月15日

CRYSTALISMO / orange pekoe

crystalismoバンドによる一発録音を基本につくられたライブ感あふれる1枚。orange pekoはわりとのこの「一発どり」と「スタジオでいじり倒す」の繰り返しでアルバムをつくるイメージがある。夏らしい色彩と曲でパワーあふれる仕上がりだが、ジャケットは何故かオーガニックとヒッピーの境目のギリギリのライン...。いや、ファッションはかわいいのだが、一馬くんのヒゲのせいかな...。

「クリスタリズム」「Music is Freedom」「神秘」グルーヴ感あふれる曲に、いつも以上に"踊ろう、みんな!"のアルバムなんだなと思いつつ、それだけじゃない。

「ゆらぎ」はおそらく自信のある曲で、だから間にインターバルの曲を入れて切り替えてもらい、じっくり聴いて欲しいのかなと感じたりする。オレペコの曲はどれも好きなのだが、本当に1stアルバム以来、久しぶりに1回聴いただけで、全部頭の中に入った、すごく印象的な曲だった。この曲での「嘯く」の使い方がいいな。

「スピカ」もこのアルバムでは特筆して良い曲。スピカはおとめ座の星で、春の夜に青白く輝く1等星。ハーブを使うという珍しいアレンジ。これはもっとシンプルにギターかピアノだけでも良かったかもしれないが、きっとライブではそうするんだろう。

「スパークル・ジャーニー」は前作"Wild Flowers"の「シルキー・ショコラ・ラヴァーズ・ドリーミィ・タイム」と同じ歌い方。「マリーゴールド」はタイアップ曲だが、「リストランテ・パラディーソ」(オノナツメ)なのにうっかり見ていない。シングルカットにしては地味だなと思わざるを得ない。それは派手な曲がほかにあるから。

アルバム全体のコンセプトはともかく、良い曲が目立つアルバムだった。

2009.7.8 BVCL-20001~2

  1. Theme of "CRYSTALISMO"!
  2. Crystarhyrhm (Long Version)
  3. Music is Freedom
  4. Introduction~yuragi
  5. ゆらぎ
  6. スパークル・ジャーニー
  7. Introduction~Didgeridoo
  8. 神秘
  9. マリーゴールド
  10. 踊る星
  11. ユートピア
  12. スピカ