Coyote vol.26 柴田元幸
3月10日売りの「Coyote」は「特集・柴田元幸―文学を軽やかに遊ぶ」という、なんだかそのものズバリな特集だった。このブログも「柴田元幸」というタグが増えてるなぁ。柴田元幸ブランドだから読む、というほどのファンではないのだが。
私が好きなのはポール・オースターやスチュワート・ダイペックであって、スティーブン・ミルハウザーやバリー・ユアグローではない。でも角度的にはまぁまぁ高い方なのだろう。
大田区の六郷というところは、なんとなく雰囲気がつかめる。柴田氏が子どもだった頃ほど昔ではないけれど、私も7歳まで京浜工業地帯で育ったから。あの辺は駅もないのに唐突に小さな商店街がぽつぽつと出現する。JRの駅までは車で行かないとならなくて、それはホントにちゃんとした「お買い物」という感じで、普段はその小さな商店街で全部済んでしまう。都心なのに、すごく田舎な側面がある。埋め立て地だから基本的に平地で、だら~っとした感じ。下町であまりガラはよくない。勉強が出来ても、別に偉くない。そんなところで育ったからこそ「インテリぶってもしょうがない」→「平易な文章で翻訳」なわけか。なるほど。
「ニューヨークから来た女」の東大でのゼミはそれなりに面白かったが、今の私にこんなものまともに読めるわけがない。たとえば、この小説の語り手が主人公の女性に対しても、夫やその親に対しても、どちらにも肩入れせず、放り投げたような視点から書いてあるのは理解はできる。が、私自身が「この女信じらんない」と思ってしまっては、ちゃんと読める筈がない。仕方がないと自分で苦笑してしまった。
■書誌事項: 2008.3.10 ISBN4-88418-213-8/ISBN978-4-88418-213-7
ところで、柴田元幸責任編集の「モンキービジネス」という文芸誌がヴィレッジブックスから4月19日に創刊されるらしい。季刊誌のようだが、今時文芸誌なんて、えらすぎる。以下、それに関するメモ。
http://www.villagebooks.co.jp/villagestyle/monkey/index.html
4/11 「モンキービジネス」特設サイトオープン
■雑誌掲載
「ダ・ヴィンチ」4/6発売号 NEWSCLIPコーナー
「Frau」4/12発売号 柴田元幸×岸本佐知子対談
「BRUTUS」4/15発売号 柴田元幸×鈴木成一対談
■イベント
5/3(土) 10:00~ABC(青山ブックセンター)
http://www.junkudo.co.jp/newevent/evtalk.html#20080508ikebukuro