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2008年2月18日

Flight 7 / paris match

flight7.jpgカバー曲集のOur Favourite Popやベストアルバムが出ているが、オリジナルアルバムとしては2年ぶり。その間にレコード会社が変わっている。その際に古澤大がメンバーから外れて3人→2人になってしまったが、作詞には相変わらず顔を出しているので、正式メンバーではなくなったものの依然協力関係にはあるのだろう。

レコード会社が変わると、音がガラっと変わったりするが、そんなことはなくて安心した。このバンドのベストは3枚目と4枚目とする声もあるが、それはそれで納得もするのだが、私はドライブミュージックを意識しすぎる3枚目や、やや派手過ぎる4枚目はあまり好きではなく、むしろ若干地味な5枚目6枚目の方が好みだったりする。というか私にとってのベストはやっぱり1stと2ndだ。これはきっともうどうしようもない。でも、この7枚目の、少し悪く言うとマンネリ感、良く言うと安定感は、私は悪くないと思う。でもそんなにマンネリな感じではないと思うのだけど...

アルバムは、まず派手なホーンセクションで幕を開ける。そこからは例によってソウルやジャズやラテンと様々な曲が展開される。2曲目のギターがカッコいい。2曲目は地下鉄だし、3曲目は自転車だし、少し自動車から離れようとしてる...のかな。3曲目の「Bikeride」は最近はやりのバイシクル・ソング。「ルイガノ」なんて名前がずいぶんと一般的になったものだ。さわやかなフルートとサックスが印象的で、CMに使えるのでは?と思われる。4曲目の「You make my day」もミズノマリの詩で、得意の日常を淡々と描くパターンだが、これはどうも受け付けないな。5曲目「SUNSHINE DAY」にはまたホーンセクションが戻って来て、6曲目の「Pardon」はボサノヴァっぽくてカッコいいけれど、詩が全然意味がない感じがしてちゃんと。7曲目「Dr.プラスティック」は再びホーンセクションが入って来てギターが印象的。私は古澤大の歌詞の方が好きだなと改めて思う。8曲目の「Jealousy」のピアノは良いが、これもまた歌詞が聞き流してしまうタイプ。10曲目「波待ち」はレゲエ調でホーンが強め。11曲目「水の時計」はキーボードが前面に出てきている、わりと私は好きなタイプ。ただ、ちょっと古い...というか、ちょっとワンパターンな気がするのはこういう曲のせいだろう。でも歌詞は良い。ラスト、「Ensemble」でさわやかにまとめました、と。

詩が3,4,5,6,8,10,11と7曲ミズノマリで1,2,7,11の4曲が古澤大。完全に形勢が逆転している。確かに音は特に変わっていないのだが、もう少し古澤大の詩を増やした方が良いと思う。別にミズノマリの詩が悪いとは言わないが、少し女性過ぎる。それだけになってしまうと、若い女性がメインターゲットかと思ってしまう。専業主婦のささやかな幸せをさわやかに歌われても、共感できる人もいるだろうが...まぁ、このちょっと退屈だけどシアワセなの...感がまったりとこの人の声に合ってていいのか。

私は「Metro」と「Dr.プラスティック」「水の時計」あたりが好き。でもなんと言ってもこのアルバムは「Mr.サマータイム」だ。

毎回1曲はカバー曲が入るparis match。今回はサーカスの1978年のヒット曲「Mr.サマータイム」のカバー。初の邦楽カバーか?と思いきや、もともとMichel Fugain(ミッシェル・フーガン)の「Une belle histoire(愛の歴史)」というフレンチポップが原曲。といっても、やっぱりこれは邦楽のカバーだろう。これまでのカバー曲も良かったけど、今回は驚かされた。オシャレなジャズアレンジの「Mr.サマータイム」を期待していたら、何?この1970年代ふうの泣きのギターは??と大爆笑。宇崎竜童かよ~と思ったら、松原正樹じゃん。そういえば、いつもparis matchのアルバムには参加してたけれど、今回も3曲(Metro、Dr.プラスティック、Mr.サマータイム)参加していて、どれもなかなか良い出来映え。特にこの「Mr.サマータイム」は出色だと思う。元パラシュートなんつってももう知らない奴の方が多いのだろうけど、日本の1980年代はこういうバリバリのギタリストが華やかだった時代で、「フュージョン」なんて今となっては意味不明な音楽ジャンルがはやったりしたものだ。

私は洋楽か、またはこんなフュージョン系を聴いていた生意気な中学生だったが、歌謡曲であっても、「Mr.サマータイム」という妙に艶めかしい哀愁の漂うヒット曲は妙に印象に残っている。杉山氏も同様ではないだろうか?

それにしても、この曲が一番印象に残ってしまうっていうのはどうなんだろう。ちょっと例外として扱った方が良いのかもしれない。これを外したら、結構バランスの良いまとまったアルバムなような気もしてきたな...

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paris match 2008年2月13日  Amuse Soft Entertainment ASCM-6010 3,000円
01. 虹のパズル(作詞:古澤大/作曲:杉山洋介)
02. Metro(作詞:古澤大/作曲:杉山洋介)
03. Bikeride(作詞:ミズノマリ/作曲:杉山洋介)
04. You make my day(作詞:ミズノマリ/作曲:杉山洋介)
05. SUNSHINE DAY(作詞:ミズノマリ/作曲:杉山洋介)
06. Pardon(作詞:ミズノマリ/作曲:杉山洋介)
07. Dr.プラスティック(作詞:古澤大/作曲:杉山洋介)
08. JEALOUSY(作詞:ミズノマリ/作曲:杉山洋介)
09. Mr.サマータイム(作詞:Pierre Delanoe/作曲:Michel Fugain/日本語詞:竜真知子)
10. 波待ち(作詞:ミズノマリ/作曲:杉山洋介)
11. 水の時計(作詞:古澤大/作曲:杉山洋介)
12. Ensemble(作詞:ミズノマリ/作曲:杉山洋介)