メアリー ・ステュアート
実に2年ぶりの観劇。結構脚色がされていたようだが、大枠ではシラーの原作をストレートにやっている。この規模の劇場でこの期間で、と考えると2時間45分は意外だった。古典劇はあまり見ない方だが、これは学生の頃、相良守峯訳の古い岩波文庫で読んではあった。シラーは「群盗」「ヴィルヘルム・テル」などから、もっと動きのある芝居の人かと思っていたら、ものすごい密室劇で、地味な会話ばかり。両女王の対決場面でのイヤミの応酬が面白かったという記憶がある。
このくらいの台詞の量だと、結構なスピードになってしまうのだが、これまで私が見た芝居は、こんな感じでみんな押していた。この圧倒的な台詞の量の中で、どれだけちゃんと演じられるのかが問題で、じっくり‥というタイプは少なかったのだ。が、なんだろう‥今回ミスが多くてみんなとちりまくってて興ざめ。稽古の時間が足りないのか、それとも今の流行ではないのかな?
平栗さんが元気そうでよかった。彼女だけはミスがない。「つか」で鍛えたら、このレベルなら全然余裕でしょう。この人は若い頃から(90%は良い意味で言っているのだが)ホント変わってないなぁ‥と思った。ゴスロリな衣裳ですが、細くて頭が小さいから似合うんだなぁ、これが。え?もう44歳ですか?びっくり。
二人が同時代に生きて、対照的な生き方をしていたのは事実。だが、実際は会ったことはないらしい。イギリスの歴史を多少かじっている人なら誰でも知っている女性二人の歴史劇をドイツ人が書いている。英国人には書けないでしょう。
制作:社団法人日本劇団協議会
会期:2007年2月1日(木)~2月4日(日)
会場:新国立劇場・小劇場
作:フリードリッヒ・シラー
脚色:ピーター・オズワルド
翻訳:阿部のぞみ/古城十忍
演出:古城十忍
美術:伊藤雅子
照明:黒尾芳昭
音響:青木タクヘイ
衣裳:宮本尚子/豊田まゆみ
舞台監督:尾崎裕
舞台監督助手:端場久美子
演出助手:佐藤万里子
演出部:増田和/村田麗香/吉澤緑
宣伝美術:古川タク[イラスト]/西英一[デザイン]
制作担当:岸本匡史
出演:平栗あつみ(メアリー・スティアート)/田島令子(エリザベス1世)/奥村洋治(バーリー卿)/小宮孝泰(アミス・ボウレット)/鈴木弘秋(レスター伯)/河内喜一朗(シュリューズベリー伯)/有希九美(ハンナ・ケネディー)/永田耕一(ベリエーブル卿・ディヴィソン)/重藤良紹(オーブスビン大使・メルヴィル・護衛)/小森創介(モーティマー)/高久慶太郎(ダンンリー他)/溝渕康弘(ドゥルーリー・護衛隊長)/石井秀樹(護衛)
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