孤独な鳥がうたうとき
■著者:トマス・H・クック著, 村松潔訳
■書誌事項:文藝春秋 2004.11.9 ISBN4-16-323540-X
叙情的なミステリを書いて、言い方は悪いかもしれないが、非常に「文学的」な作品が多い。クック作品では、犯人捜しなぞはどうでもよく、その犯罪に至る心象風景が美しい描写で描かれているわけだ。
というところで評価の高いミステリ作家なのだが、どうも本人も飽きたらしく、違う作風になっていた。面白いと言えば面白い。複数の登場人物がそれぞれ動いて、最後に集結するという筆致法は、特別目新しいものではないかもしれないが、クックがそれをやると、また変な感じなのだ。
やっぱり最後にちゃんとオチがつくところが、クックらしい。