七つの丘のある街
■著者:トマス・H・クック著, 村松潔訳
■書誌事項:原書房 2003.11 ISBN4-562-03709-1
■感想
夏はミステリーだ!と決めていたのは何年か前までリゾートへ行っていた頃のこと。久しぶりのリゾートに色めき立ち、久しぶりトマス・H.クックなど手にとってみる。ところがこれはノンフィクションだ。書評に「緋色の記憶に連なる…」とあるから、このノンフィクションに基づいて「緋色の記憶」が出来たのかと思って、ドキドキしながら読んでいったら、全然関係ないじゃん。勘違いする方が悪いのか?否。勘違いさせるような書評が悪いんだろう。
「冷血」をはじめ、犯罪ノンフィクション・ノベルは嫌いではないので、それなりに面白かったのだが、犯人がわかってからはともかく、裁判の部分が少し物足りない。もっと検察側と弁護側の攻防があってもいいかなと思う。弁護側の変さが際だつという点では、そこを中心にするのは間違っていないのだが、緊張感が少しゆるんでしまった。実際に攻防なぞはなかったということなのだろう。