最近読んだ本、見た映画・芝居、聞いたCD

2005年7月

2005年7月31日

勝利の時も、敗北の時も

勝利の時も、敗北の時も■著者:オスヴァルド・アルディレス著, 鍋田郁郎訳
■書誌事項:日本放送出版協会 2001.4.25 ISBN4-14-080602-8

■感想
清水エスパルス、横浜マリノス、そしてつい先頃読売ヴェルディの監督を務めた日本にはなじみ深いアルゼンチン人の一人、アルディレスの自伝のようなもの。これはマリノスの監督をやっていた頃のもの。
アルゼンチン代表が初めてワールドカップに優勝した1978年大会(自国開催)のメンバーで、トットナム・ホットスパーのスター。イングランドで成功した初めてのアルゼンチン人というところが私の興味をそそった。多分それ以降も出ていないんじゃないかと思われるくらい、イングランドとアルゼンチンの相性は悪い。
短くボールをつなぐアルゼンチンサッカーに対してイングランドのロングボール放り込みは違いすぎる…と言ってしまえば古すぎる説明かもしれない。昨今のリバプールなんか見ていると、ラテンナイズされてるのがわかるし、アーセナルだってやっぱり放り込みサッカーじゃない。でも、やっぱり全体的に言うと、両国のサッカーの特徴は今も変わらないんじゃないかなと思う。
そんな中でどうして彼が成功できたのか。本人は「教育のおかげ」と言う。確かにアルゼンチンのサッカー選手には珍しく、大学出なんである。最近じゃバティストゥータがそうだが、アルゼンチンの代表クラスの選手で大学へ行った選手は珍しい。かなり早い時期にユースチームに入ってたたき上げないと、メジャーな選手にはなれないので、それも当然だろう。大学なんか出て働くよりサッカー選手になった方がもうかるから、家族も勧めないし。アルディレスの場合は少し時代が古いのと、家庭環境のせいらしい。
だが、教育のおかげで語学ができたのと、環境に対してきちんと対応する努力をしたのが成功の要因だそうだ。まぁ、わからないでもない。環境に対する順応性が高くないとサッカー選手は大成しないからな。

監督としてのアルディレスは解任はされたものの、ヴェルディにやってきて、すぐに結果を出した。マリノスのときもそうだった。就任したそのリーグで優勝したのだ。ただ、長続きしない。エスパルスのときはそうではなかったが、その後はどうもチームのフロントの方に恵まれていない気がする。もっと長期政権でやって欲しい監督だ。

2005年7月26日

スターウォーズ エピソードIII

スターウォーズ エピソード3 シスの復讐1978年に第一作(エピソード4)をロードショーで見て以来、全作ロードショーで見てきた。ここまで来て、見ないわけにはいかないでしょう。とそれだけの理由で頑張って映画館に行く。

なんというか、一言で言って暗い。シリーズ最高の暗さ。C3POの台詞の少なさが物語る。うるさいなと思って嫌いだったジャージャーでさえなつかしい。なんせテーマは「アナキンは何故どのようにダースベイダーになったか」だもの。明るい筈がない。そのうえエピソード4につなげるため、いろいろと詰め込まなければならないのだから、致し方あるまい。

例えば、4でタトゥイーンに不時着したC3POが「こんな辺鄙な星に…」と文句を言っている。1でC3POが誕生したのはタトゥイーンだとわかる。何故タトゥイーンを知らないかというと、おそらく3でメモリーを消されるのだろうと。まさに、その通りのシーンがポンっと挿入されたり、4でオビ=ワンがルークに渡す「父親の形見」のライトセーバーをオビ=ワンはちゃんと拾わなくちゃならないし。それから、4で死んだオビ=ワンが霊体になって5で出てくるのは、タトゥイーンでの退屈な日々をやりすごすための修行のなせる技だったわかるとか。「死をも越える修行」ってそりゃあ結局不老不死になるんじゃなくて、霊体になって蘇って来ることなのね、とか。
#そうそう。今出ているDVDの6のラストに出てくるアナキンとかオビ=ワンは入れ替わっているんだろうか。

全般的に1~3より4~6の方が好きなのは、これはもういたしかたない。クリーチャーの手作り感とか、全体の抜けたムードとか、比較してもしょうがない。時代が違うのだから。それでも1はこのシリーズへの期待感というか、わくわく感がまだあったが、2がちょっとどうもいけなかった。そういえば、2の白兵戦のシーン、あのまぶしいCGっぽい緑が大嫌いだった。ジャージャーはうるさいし、アナキンとパドメのデレデレはどうでもいいし、お母さんがなくなるところとか伏線貼りまくりで、一作の映画としての完結度が一番低かった。それに比較すると余計なシーンがそぎ落とされ、3の方がまとまっているが、詰め込み過ぎ…繰り返しになるが、いたしかたあるまい。

元は良いヤツなんだけど、悪いヤツが付け入る隙のある力のある若者ですっていう演出ってのもまた難しいわね。

それにしてもウータパウの青い空しか明るい画面がなかった。繰り返しになるが、つくづく暗かったな。

2005年7月24日

ディエゴ・マラドーナの真実

ディエゴ・マラドーナの真実■原綴:HAND OF GOD : the life of Diego Maradona
■著者:ジミー・バーンズ著, 宮川毅訳
■書誌事項:ベースボール・マガジン社 1997.11.30 ISBN4-583-03441-5

■感想
そういやぁ読んでなかった、と思い、だからとりあえず読んだ、というだけ。目新しい事実は特にないが、伝記としてはそれなりに評価できる。本人にとっては耳の痛い話が多いのと、良い方の話(W杯での活躍ぶりとか)も、非常に淡々と書かれていて、落ち着いた感じ。サッカーの伝記ものには珍しい。

2005年7月21日

ナショナル・ストーリー・プロジェクト

ナショナル・ストーリー・プロジェクト■原綴:National Story Project
■著者:ポール・オースター編, 柴田元幸訳
■書誌事項:新潮社 2005.6.29 ISBN4-10-521709-7

■感想
ポール・オースターが著書「トゥルー・ストーリーズ」で語っていた、あの物語だとすぐに思い出した。ラジオ番組で全米から募集したお話をオースターが選出し、放送する。条件は本当にあったお話であること、そして短い話であること。ここに収録されているのは、ラジオで放送されたものの中から更に厳選されたもので180収録されている。オースターの「偶然」好きが産んだ副産物だろう。集まったのは、テレビでいうところのアン・ビリーバボーみたいな話ばかりでなく、おかしな話ばかりでもなく、様々な年齢、職業の人が様々な時代を背景に語ったお話だった。

印象に残ったのは、やはりクリスマス・ツリーを引きずってブルックリンを歩く11歳の女の子、の図だったりするのだが。他にもO.ヘンリーの原稿のO.ヘンリーっぽい物語とか、「キルトを洗うこと」とか、消しゴムみたいなトルテリーニの話とか、街中を停電させた話とか、たくさんある。哀しいお話もあるし、戦争の話もあるし、内容は本当にいろいろだが、ふーん。アメリカ人のこういう職業の人はこういう生活をしていたのだな、というところにも興味がもてる。だからこそ「ナショナル・ストーリー」というネーミングになったんだなということがよくわかる。

いろいろとお話が分類されているのだが、偶然は「死」と「夢」のあたりに密接な関係があるようだ。つまり人が死んだその時間に夢に出てきたというようなお話がいくつかあった。日本人は幽霊に親しんでいるというか、仏教文化のせいだろうか、霊的なものに対してあまり頑なではないような気がする。お盆にご先祖様が帰って来る国だからか、古来より木や物に「言霊」というか、それぞれの精霊が住み着いていると信じられている国だからか。私自身、幽霊については別に特別に信じるとか信じないとか、あまり考えたことはない。考える前に、それはそこにあったというか…科学で解明できるものとできないものが世の中にはあるんだ、と漠然と思っているというか…。そんな日本人としては、うーん別に普通じゃん?というような話をアメリカ人は一生懸命誤解のないように語っていたりするあたりに、ちょっと文化の差を感じたりもした。

総じてとても面白く、なかなか本を閉じることが出来ない本で、実際はかなり一気に読んだような気もするが、それなりには時間がかかったと思う。読み応えありです。

2005年7月11日

シャーロック・ホームズの冒険 第14巻

シャーロックホームズの冒険 第14巻スペシャル:バスカビル家の犬 The Hound of Baskerville
■スタッフ
監督:ピーター・ハモンド
脚本:ジェレミー・ポール
ゲスト:クリストファー・タボリ(山本圭)/ネイル・ダンカン(大和田伸也)

これは恐ろしい危険な仕事となるだろう
―君が無事にベーカー街に戻ってくることを、僕は心から祈っているよ…

■紹介
ダートムアの旧家バスカビル家には代々悪魔の犬の祟りがあるという言い伝えがあり、館の主サー・チャールズがそれを暗示するかのように謎の死を遂げる。アメリカにいる甥のサー・ヘンリーが家督を継ぐことになり、ロンドンへやってきた。バスカビル家の医師モーティマーから依頼を受けたホームズはサー・ヘンリーに会い、危険な依頼であることを察知する。ホームズは他の事件で多忙であり、代わりにワトスンがサー・ヘンリーに同行して汽車でダートムアに向かった。
ダートムアはムーアと底なし沼のある田舎で、夜は薄気味悪く恐ろしいところだが、昼間は美しい自然を楽しめる土地である。駅に到着すると、警官が大勢いるので何事かと尋ねると、ムーアに凶悪な脱獄囚が逃げ込んだらしい。バスカビル家の館には執事のバリモア夫妻がおり、近くには昆虫学者ステープルトンやその妹ベリル、訴訟マニアのフランコランドなど住人がいる。
ワトスンは謎を解くべく、行動し、ホームズに手紙を書く。果たして、悪魔の犬の存在は?サー・チャールズの本当の死因は?

■感想
DVD-BOX2(現在は1と2が一緒になった完全版が出ていますが)は、1に比べると比較的地味な作品が多いのだが、これは例外。正典中4本の長篇のうち、最も人気の高い長篇だ。おどろおどろしい悪魔の伝承から始まり、骨相学や蝶の採集やら、なんだか不気味なムード満点。グラナダ版の良いところは、本物の美しいムーアが見られるところ。やっぱりいいなぁ、怖いけど。

正典ではレストレード警部が出てくるところも全部ワトスンがやってしまっているので、ワトスン・ファンにはたまらない活躍ぶり。ホームズより出番が多いのだ。今回の出色は隠れ家に現れたワトスンをホームズが自作のシチューでもてなそうとするところ。すごくまずそう。ワトソンは正直に「見るだけで充分だ」と言い、それを受けて「熱いとまだましなんだが…」と返す、その哀しそうな顔。グラナダ版のオリジナルで、最高なんである。

しかしあのセルデンのロボトミー手術はどういったら良いか。セルデンを放置しておくことへの言い訳としてグラナダ版で入れた処理なんだが、ちょっと気持ち悪いなぁと思う。凶悪な殺人犯は精神異常の判断が下され、ロボトミー手術を受けて今はもう無害なんですって、精神異常者に対する偏見というか対応がアナログすぎやしませんかね。もうちょっと「凶悪な殺人犯でも庇う姉がいるんだ」というところを、正典のようにしぶく書けないものかな。時間がないのはわかるんですが。

サー・ヘンリーと救い出されたベリルの再会のシーンの、一瞬嬉しそうな二人、その後の複雑な顔、という演出はよかった。とりあえず、人の奥さんだったわけで、サー・ヘンリーは騙されていたわけで。あぁよかったよかったと短絡的になれないのがよくわかって、よかった。しかし、ステイプルトンが一人でサー・ヘンリーを迎えて食事しているというだけで、ベリルが虐待されているとわかる、というところもちょっと無理がある。その前のステイプルトンとベリルの喧嘩のシーンを入れて欲しかった。ローラの存在も、もう少し会話の中で出てきているのだが、やっぱりちょっと突然すぎる。それからローラがステイプルトンには妻がいる件を初めて会ったホームズとワトソンから聞かされて、何の証拠もなく信用するところも無理があった。

結局この悪魔の犬は単なるリンを塗った巨大な犬だったわけですが、人を襲うようちゃんと訓練されているところが、すごいなぁと。昆虫学者にそんなこと出来るのか?みたいなことはたくさんあるんですが、あまり言わない方が良いでしょう。

(オススメ度:☆☆☆☆☆)

2005年7月 9日

Live from Poetic Ore Tour

Live from Poetic Ore Tour2004年11月に行われたNHKホールでのライブの模様を収録した、orange pekoe初のライブDVD。2004年7月に発売されたアルバム「ポエティック・オー」。この「Poetic Ore」ツアーの最終日でもある。これまでもCDのボーナストラックとしてのDVDはついてきたが、ちゃんとしたライブ映像はこれが初めて。いきなり150分である。本当に無駄なところだけを省いて、実際のライブそのものだろう。

今年の2月にライブアルバムの方はすでに出ていて、やはり「Poetic Ore Tour」である。「LIVE 2004」。これの映像盤かと思いきや、そういうわけではない。つまり、ツアーのいろいろな場面をつなぐパターンが多いのに、いきなり、一回のライブをまとめて見せている。ライブに自信のあるバンドは、そうでなければつまらない。

こうやって聞くと、最初の頃のアルバムに比べて若干つまらなく感じた「Poetic Ore」の曲も、なかなか良いんじゃないかと思える。やっぱりライブじゃないと本領がわからないようだ。セットリストは下記のように当然サードアルバム「ポエティック・オー」中心だが、ファースト、セカンドからもそれなりに選曲されている。

ナガシマトモコも、最初に見たときはびっくりするほど若かったが、もうそうでもない。円熟味を増したというようなこともないが、ともあれ、相変わらずパワフルだ。やっぱりファーストアルバムが一番好きだし、多少音に変化はあれど、ボーカルが気に入ればずっと聞くことになる。いろいろな女性ボーカリストを試して聞いてはみるものの、ここ数年でデビューしたバンドでは、まだ彼女を越えたボーカリストはいない。表現しにくいのだが、どうもパワーがあるとかソウルフルであるとか、うまいとか、そういうことではないらしい。最終的には私との相性の問題らしく、理屈抜きで気に入っている。

2005.6.29  BMGファンハウス BVBS-21012

1.彼方へ(~Poetic Ore)
2.ソングバード(~Poetic Ore)
3.煙のセレナード(~Poetic Ore)
4.Story(~Poetic Ore)
5.メトロ(~Modern Lights)
6.やわらかな夜(~Orange Plastic Music)
7.太陽のかけら(~Orange Plastic Music)
8.リズム(~Poetic Ore)
9.Birthday Song(~Modern Lights)
10.Calling You(~Orange Pekoe in Autumn)
11.Cradle(~Poetic Ore)
12.にわか雨(~Poetic Ore)
13.輪舞(~Poetic Ore)
14.Heavenly Summer(~Poetic Ore)
15.Honeysuckle(~Modern Lights)
16.Happy Valley(~Orange Plastic Music)
17.よろこびのうた(~Poetic Ore)
18.Beautiful Thing(~Modern Lights)
19.Love Life(~Orange Plastic Music)
20.空に架かるcircle(~シングルのみ)


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同時発売のシングル「黄金色の羽根」もなかなか。

2005年7月 6日

教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書

教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書■書誌事項:翔泳社 2005.5.10 ISBN4-79810657-7

■感想
ものすごい力作のため、読むのに異常に時間がかかってしまった。他の本と平行しつつぼちぼちと読み進めたが、1ヶ月近くかかっているんじゃないか?こちらも適当に飛ばしたりしないで、年表から何からついていねいに読んでしまう。
インターネットの文化史を探るということなのだが、個人サイトの歴史といった趣で、UGを全面に出しているわけではない。
どちらかというと、インターネットの創世記に学生だったわけではないので、最初からビジネスで入ってしまっている私には知らないことの方が圧倒的に多い。しかし、ああ、懐かしいなと思うサイトも多々あり、全然関係ないという気もしない。「ムーノーローカル」とか「Der Angriff」とか好きだったなー。Der Angriff内にあったさーやファンサイトがあったら、ご婚約をどう喜ぶだろうとか余計なことを考えてしまったり。たくさんのサイトを忘れてしまっていたのだが、まだ残っているところもあったりして、驚かされる。
知らず知らずのうちに、自分の通信史を思い起こしたりする。多分89年頃のNifty Serveが最初だろうと思うのだが、これは仕事で必要があって使って覚えたのだ。「まいと~く」の~がイヤだった。
自分個人のPCを買ってパソ通へ入ったのは、もっと後なので、草の根BBSは知らない。fjは多少かじっている、NiftyのHP(ホームパーティ)で萩尾関連古本を探してもらったなぁ、などと懐かしがる。
p395の註27、大塚日記プロジェクトは買収ではない。翔泳社の本は正誤表がネットに載ってるので、一応全部目を通したりして、私はとてもマジメな読者だ。

インターネットをそれなりには楽しんでいるつもりだが、最近あまり見ていないので、つまらんな。

2005年7月 4日

シャーロック・ホームズの冒険 第13巻

シャーロックホームズの冒険 第13巻第23話:ウィステリア荘 Wisteria Lodge
■スタッフ
監督:ピーター・ハモンド
脚本:ジェレミー・ポール
ゲスト:フレディ・ジョーンズ(名古屋章)

「奇怪な」という言葉を、君ならどう定義づけるね?」
■紹介  ジョン・スコット・エクルズ氏はガルシアという男と知り合い、屋敷に招かれた。そこでサリー州のウィステリア荘を訪れるが、料理や給仕の態度もひどいもので、翌朝になってみるとガルシアの姿はなく、屋敷はもぬけの殻だった。この奇妙な出来事を解明するため、ホームズとワトソンを連れ、エクルズはウィステリア荘に戻る。  屋敷に到着すると、ガルシアは家から一マイルほどの沼地で撲殺体となって発見されたとサリー州警察のベインズ警部が告げる。エクルズはガルシア殺害の容疑者となっていた。この奇怪な事件をホームズはどう片付けるのか。

■感想
ホームズには警察に好敵手がいない。ポワロには親友のジャップ警部がいたりするのだが。本編に登場するベインズ警部はホームズも高く評価するキレ者だ。ベインズ警部が出てきた、ということには意味がある作品だが、その点以外ではちょっと、どうもなという今一の作品だ。原作の南米に対する蔑視感をかなり削っており、意味がわからなくなってしまっている。もちろん、やむを得ない処置だとは思う。最初からベインズがムリロの正体を知っていた、ということになっているので余計にじゃあ何故ホームズが出っ張ってくる必要性があったのかなぁとか思ってしまい、ちょっと興ざめなんである。
やっぱりホームズは孤高の天才でいて欲しい。理解者はワトスンとマイクロフトだけというのがいい。

(オススメ度:☆☆★★★)

第24話:ブルース・パーティントン設計書 The Bruce Partington Palns
■スタッフ
監督:ジョン・コリー
脚本:ジョン・ホークスワース
ゲスト:チャールズ・グレイ(久米明)

お前はその気にさえなれば、ロンドンきっての空き巣狙いになれるな―

■紹介
ホームズの兄マイクロフトは普段は自宅と役所とクラブ(ディオゲネス・クラブ)の間を行き来するだけで、それ以外の場所へ行こうとはしない。しかし、そんな兄がホームズのもとを訪ねて来る。地下鉄の線路脇で発見されたカドガン・ウエスト青年の死体から、重大な軍事機密、ブルース・パーティントン潜水艇の設計図が見つかったが、盗まれた10枚のうち3枚が行方不明だという。ホームズはマイクロフトの依頼を受け、調査を開始する。
盗まれたのはウーリッチ兵器廠からだが、鍵をもっていたのは二人だけ。そのうちの一人に会いに行くと、驚くことに今回の事件の責任を感じるあまり心労が募って、心臓の病で亡くなっていた。また、ウエストの死体に切符がなかったこと、列車から転落したにしては外傷が少なかったことから、ホームズは疑問を抱くが…。

■感想
冒頭、いきなりホームズが歌っている。これは中世音楽だそうだが、画像(NHKはカット)だけ見ていると、ちょっとぎょっとする。政府関係の書類がなくなる話は、他にもあって、似たような話だなぁとは思うのだが、このお話のポイントは列車の屋根に死体を落とし、そのまま運行してカーブで死体が落ちる、というところ。これは秀逸なトリックだろう。この時代ののんびりとした列車の運行なら考えられる。
オーバーシュタイン(なんてドイツっぽい名前…銀英伝か?)の家に忍び込もうとホームズが誘うと、ワトソンは最初は渋る。しかしホームズの説得に応じて承諾する。このときの一生懸命説得するホームズの姿はなかなか親しみがもてる。

(オススメ度:☆☆☆★★)