最近読んだ本、見た映画・芝居、聞いたCD

2005年4月29日

シナリオ 失われた時を求めて

■著者:ルキノ・ヴィスコンティ,スーゾ・チェッキ・ダミーコ
■書誌事項:筑摩書房 1984.12.20 ISBN4-48-002766-1
■感想
学生の頃、海外文学の長篇には結構強いと思っていたが、それはものによるということに気付かされた。「戦争と平和」なら体力さえあれば充分楽しめるが、「チボー家の人々」は数頁で飽きてしまう。「魔の山」や「ヴィルヘルム・マイスター」といったBuildungs Romanならいけるけど、「失われた時を求めて」はどうしてかダメだった。というわけでこれはもう明らかにフランス文学が苦手なように見えるのだけど、「見せられたる魂」とかなら大丈夫。結局、細かいことを書き連ねて筋が進まないとダメで、しかもそれが哲学的なことならまだしも、マドレーヌがどうのと言われてしまうと、もう全然歯が立ちません、といったところか。あまり詳しく分析したことはないが、結局は単なる好みの問題かと。

ところでヴィスコンティは「失われた時を求めて」をどうしても映画化したくてシナリオを書いてロケハンまでしたということなので、ま、シナリオなら読んでみようかという気になった。これは原作確かにすごい。でも絶対読めないと思う。もううざったくて、うざったくてしょうがない。マルセルもモレルもシャルリュス男爵もいろんな意味でみんなうざ過ぎ。希望の光だったアルベルチーヌも結局ダメじゃん。これはもう肌が合わないとしか言いようがない。

まぁ映像ならなんとかなりそうなので、「スワンの恋」と「見出された時」だけでも見ておくか。好きでもないけれど、これもまた一般教養の範囲ということで、筋くらい知っておかないと。