魔法の書
■著者:エンリケ・アンデルソン=インベル著,鼓直、西川喬訳
■原題:El Grimorio, 1961 : Enrique Anderson Imbert
■書誌事項:国書刊行会 1994.11.25 ISBN4-336-03597-0
■内容
魔法の書
将軍、見事な死体となる
ツァンツァ
亡霊
船旅
事例
身軽なペドロ
空気と人間
手
屋根裏の犯罪
道
水の死
決定論者の妖精
授業
ファントマ、人間を救う
解放者パトリス・オハラ
アレーホ・サロ、時のなかに消える
森の女王
ニューヨークの黄昏
■感想
何となく、アルゼンチンの作家だし、国書刊行会だし、文学の冒険シリーズだし、という気楽な感じで古書店で買ってしまった。あぁしまった。考えてみりゃそりゃあそうだ。今まで知らなかったアルゼンチンの作家なんだから、幻想文学に決まってるじゃん。南米文学好きのくせに、ボルヘスなど純(pure)な幻想文学がいまいち苦手だ(カサレスはそうでもないが)。理由は主に三つ。「短篇ばかり」(嫌いじゃないけど、長篇の方が好き)。「難しい」(のもあるし、そうでないのもあるが、難しい方が多い)。
三つ目は「時々気持ち悪いのがある」幽霊譚などは全然嫌いじゃないのだが、例えば本書でいうところの「将軍見事な死体となる」のカニバリズムや「ツァンツァ」の干し首の作り方など。何しろスプラッターがダメだ。「魔法の書」や「ニューヨークの黄昏」も別の意味で気持ち悪い。終わりのない物語とか、誰かの夢の中に自分が登場するので、夢から覚めたら消えてしまった、とか。うー怖いなぁ。
と文句言うわりには、それなりに楽しんでいたりするから、この手の本は不思議だ。こういうのを質が高いというんだろうか?