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2004年9月16日

ソウル・オブ・マン

20040916いつの間にか音楽映画の巨匠のようになってしまったヴェンダースですが、少なくともいい映画を撮っていることは断言できます。いわゆるワンパターンの自己撞着に陥っている巨匠にならずによかったと思ってます。それは素直に。ただ、音楽映画のドキュメンタリーの人だと思われても困るというか、それは本業ではないと思いたいなと。

ブルース100年を記念し、「The Blues Movie Project」と称してマーチン・スコセッシの総監督のもと、7本の映画が撮られました。その中の1本をヴェンダースがとっています。対象となったブルースメンはブラインド・ウィリー・ジョンソン、スキップ・ジェイムス、J.B.ルノアーの3人です。私はブルースは全然わかりません。例えばクリームの曲でスキップ・ジェイムスの名前を知ってたりとかしますけど、せいぜいそのくらいです。が、それでも充分楽しめます。その点に関しては「ブエナビスタ・ソシアル・クラブ」を見たときに感じたので、安心して見に行きました。

「ブエナビスタ・ソシアル・クラブ」は本当に素材がよくて、それに対して素直に、ハバナの陽光の明るさに対してもストレートに、難しく考えず撮ったことが勝因でした。おじいちゃんたちのインタビューとライブという構成でしたし。
ところが今回の対象となった3人のブルースメンは亡くなっていますから、そう単純には行きません。で、どうしたかというと、少ない素材で彼らの人生と音楽を考えて再構築したわけですが、そこは気持ちよくだまされてみると、なかなか楽しいです。
ヴェンダースは映画100年のときにリュミエールの頃の映像を作ろうというプロジェクトに参加したり、「都市とモードのビデオノート」で手回しカメラを使ったり、「リスボン物語」でもサイレントのような古いカメラを使っています。こういった撮影方法に対して素直というかミーハーなところが、今回の映画で大いに役立っているようです。

もう亡くなったブルースメン3人の曲を今のミュージシャンが演奏していますが、こちらもあまりに最近の人なので、ベックとかよく知りません。でもルー・リードがまたしぶくトシ食ったなぁとかニック・ケイブも結構トシなのに元気だなぁとか、そんな感じで楽しんでました。

「The Soul of a Man」というタイトルはソウルマンじゃないです。「人の魂」です。曲名です。まだ上映中ですから、このへんにしておきます。ヴァージンシネマズ六本木ヒルズ単館です。あと公式Blogだそうです。