ビバ!ウルグァイ
■著者:井上忠恕,後藤信男
■書誌事項:STEP 2003.3.25 ISBN4-915834-49-2
■感想
ウルグアイは南米の小国だが、ワールドカップで2度優勝したことのある古豪である。現在でもアルバロ・レコパ、ダリオ・シウバほか多数の選手がセリエAやリーガ・エスパニョーラで活躍している。しかし人口300万人程度の小国のため、あまり日本でも知られていない。ウルグアイ専門の本があるのを見つけて購入したが、サッカーについてはほとんどふれられてないも同然。あまり期待もしていなかったが‥。
ウルグアイのサッカーと言えば、第1回ワールドカップを第一次大戦後の経済力で誘致し、その大会で優勝したのだが、それより大事なのはブラジル大会での優勝であろう。ブラジルの大会でブラジルが優勝できずウルグアイが優勝しているのだ。これが「マラカナンの悲劇」である。それが歴史的事項としてふれられているだけなのに、このサブタイトルはなんだ?
JAICAの人が書いたものだから、エッセイや旅行記というよりは、農業とか生体系などがメインで、若干教条主義的なところがあっても仕方がない。そういう人しか日本とは縁のない国なのだから。しかしそれでもウルグ「ァ」イやアルゼン「ティ」ンという書き方はどうしてなのだろう?現地読みなら「アルヘンティナ」だし、「チレ」になる。わざわざ一般的な日本での表記を変える意味があるのだろうか?装丁もなんだかいかにも「教科書」というか「参考書」くさくて、イヤな感じ。書籍としてはちょっとひどいなと思う。
アルゼンチンと同様ウルグアイも白人の国である。ブラジルは黒人も多いし、ペルーなんかはインディオも、インディオとの混血も多い。それが白人ばかりなのは、インディオを虐殺してしまったからだ、と思っていた。しかし、ペルーのように古代文明が発達していなかったため元々人口が少なかったこと、ブラジルのような手間のかかる大規模プランターが発達したわけではないため黒人奴隷の労働力を必要としなかったことが理由として大きいと、この本を読んで初めて知った。確かにパンパの牧畜にはそれほど人手は必要ないだろう。
プンタ・デル・エステ(ウルグアイ)やマル・デル・プラタ(アルゼンチン)あたりは私も一度は行ってみたいリゾート地だ。