時の翼にのって―ファーラウェイ・ソー・クロース!
■Farway so close! 147min 独 1994.5
■スタッフ
監督・製作:ヴィム・ヴェンダース Wim Wenders
製作総指揮:ウルリッヒ・フェルスベルク Ulrich Felsberg
脚本:ヴィム・ヴェンダース Wim Wenders/ウルリヒ・ツィーガー/クヒアルト・ライヒンガー
撮影:ユルゲン・ユルゲス Jurgen Jurges
音楽:ローラン・プティガン Laurent Petitgang
出演:オットー・ザンダー Otto Sander/ピーター・フォーク Peter Falk/ナスターシャ・キンスキー Nastassja Kinski/ホルスト・ブッフホルツ Horst Buchholz/リュディガー・フォグラー Rudiger Vogler/ブルーノ・ガンツ Bruno Ganz/ソルヴェーグ・ドマルタン Solveig Dommartin/ウィレム・デフォー Willem Dafoe/ルー・リード Lou Reed/ミハイル・ゴルバチョフ
■感想
「夢の涯てまでも」(1991)を最後に、すっかり見なくなったヴェンダース映画をさかのぼってこつこつ観ている。これは「ベルリン天使の詩」の続編ともいうべき作品。前作がベルリンの壁崩壊前に撮影されたものであるため、崩壊後のベルリンを撮影したかった、という点は理解できる。が、前作がペーター・ハントケの協力により非常に詩的な作品に仕上がっているのに対し、ハントケが抜けたせいか、途中で安易なアメリカ映画のような展開になり、少々残念。それを除けば「夢の涯てまでも」よりはずいぶんマシだ。
前回と登場人物は基本的には変わらず、ダミエルが人間になってから6年後のベルリンという想定なのだろう。「鼻歌を歌いたい」と切望していたダミエルが大声で鼻歌を歌いながら登場して、幸せそうな様子がわかる。また、ダミエルと八代亜紀の間に子供が産まれていて、ピザ屋を開いていたりする。引き続きピーター・フォークがピーター・フォークの役で出てたりする。
今回の主人公はオットー・ザンダー(カシエル)の方だが、前回出なかった女の天使(がいるんだ)に扮したナタキンはこれでヴェンダース作品は3回目。モノクロでもカラーでもきれいだなー。常連リュディガー・フォグラー、パリ・テキにも出たルー・リードが今回はちゃんとルー・リードとして出ていたりする。ホメロス役のクルト・ボワの代わりがゴルバチョフな気がするな。カッコよかったのが、フィレム・デフォー。しぶい悪役なのだけど、それなりに堕天使っぽいのは台詞に予言者の言葉がちりばめられているからか。
カシエルの墜ちっぷり、だまされっぷりがあまりに通俗的でありきたりなため、最初何で酒飲んでるのか理解出来なかったくらい。ナチ時代に運転手だった老人と彼が育てたた娘の話はよかったのだが、悪人の貿易会社社長との再会がどこでどう間違ったか、妙な具合にカットされていたようで、後味が悪い。
長いわりに退屈はしなかったけど、大喜びでロードショー見に行くようなことをしなかったのは正解だったな、と思った。