■110min 仏/伊/独 1996.8
■スタッフ
監督:ミケランジェロ・アントニオーニ Michelangelo Antonioni/ヴィム・ヴェンダース Wim Wenders
製作:フィリップ・カルカソンヌ Philippe Carcasonne/ステファーヌ・チャルガディエフ Stephane Tchal Gadjeff
脚本:ミケランジェロ・アントニオーニ Michelangelo Antonioni/ヴィム・ヴェンダース Wim Wenders/トニーノ・グエッラ Tonino Guerra
撮影:アルフィオ・コンチーニ Alfio Contini/ロビー・ミューラー Robby Muller
音楽:ルチオ・ダルラ Lucio Dalla/ローラン・プティガン Laurent Petitgang
出演:ジョン・マルコヴィッチ John Malkovich
■内容
- フェラーラ「ありえない恋の話」:イネス・サストーレ Ines Sastre/キム・ロッシ=スチュアート Kim Rossi-Stuart
- ポルトフィーノ「女と犯罪」:ソフィー・マルソー Sophie Marceau
- パリ「私を探さないで」:ファニー・アルダン Fanny Ardant/キアラ・カゼッリ Chiara Caselli/ピーター・ウェラー Peter Weller/ジャン・レノ Jean Reno
- エクス・アン・プロヴィンス「死んだ瞬間」:イレーヌ・ジャコブ Irene Jacob/ヴァンサン・ペレーズ Vincent Perez
- 3話〜4話:マルチェロ・マストロヤンニ Marcello Mastroianni/ジャンヌ・モロー Jeanne Moreau
■感想
ミケランジェロ・アントニオーニ自身の小説から映画化した、4部構成のオムニバス作品。そのうちの枠となる前後の物語とつなぎの物語をヴェンダースが撮影している。どういう事情でこのイタリアの巨匠とドイツの現代映像作家が一緒になったのか、詳しいことは不明だが、12年間もあたためていた企画がようやく撮影にこぎつけたところで、ミケランジェロが脳卒中により倒れ、言語を失ってしまったからだ。ミケランジェロの方から助けを求め、撮影開始にあたり製作者側がつけた条件がヴェンダースが枠物語を撮影し、共作とすることだった。
ある映画監督が一本の映画の製作を終え、イタリアへ飛行機でやって来る。次の作品の舞台を探すためだ。まず最初にやって来たのが北イタリアの小さな村、フェラーラ。そこで伝えられる「ありえない恋の話」は純粋すぎる愛について語る。次に監督は南のポルトフィーノへ赴き、そこで自らの父親を殺したという女性と一夜を過ごす「女と犯罪」。一転、パリへ飛んで現代的なアパルトマンを舞台にした「私を探さないで」。夫の3年来の浮気に苦しみ家出する人妻が広告が出ていた貸しアパートの一室を訪ねると、そこには妻に去られた男が家に帰って来たところだった、というお話。最後の「死んだ瞬間」はキリスト教の色合い強い作品。
一番力があるというかパワーを感じたのがポルトフィーノで撮影された「女と犯罪」。急勾配の崖が多く見られる入り江の街の、小径の描き方が印象的。「死んだ瞬間」での男女二人が話しながら歩くシーンも記憶に残る。
ただ、この2話と3話はソフィー・マルソーやキアラ・カゼッリのヘア・ヌードが話題として先行したらしい。記憶にないのでよくわからないが、DVDにも「無修正版」というシールが貼られていた。
ヴェンダースが共同監督をした、という以外で私が見る理由は特にない映画だ。ただ、4本オムニバスはイタリア映画では珍しくない手法なのだろうか?
「昨日・今日・明日」という私のお気に入りのデ・シーカ作品も3本オムニバスだった。