ルス、闇を照らす者
■原題:A veinte años, Luz: Elsa Osario, 1998
■著者:エルサ・オソリオ著,横山朋子訳
■書誌事項:ソニーマガジンズ 2001.6.1 ISBN4-7897-1697-X
■感想
アルゼンチンの1976〜83年の軍事政権下において、反対勢力への強力な弾圧が行われ、その際行方不明になった人は3万人を越えると言われる。その中には約500人の乳幼児が含まれていた。この子供達の中には本当の親を虐殺され、子供に恵まれない軍事関係者に引き取られることがあったという。この物語はフィクションだが、こういった史実に基づいている。
主人公のルスが自分に出生に疑問を抱き、真実を求める物語なのだが、すべてがわかった後でルスが語る物語の形式になっている。
読んでいて息苦しくなる場面が二つ。リリアーナとミリアムが命がけで生まれたばかりのリリを連れて逃げようとする箇所、そしてエドゥアルトが真実に気づき、告発しようとする箇所。二人とも弱い人たちなんだけれど、一生懸命
ミリアムとエドゥアルトの存在が残酷な物語に光を投げかける。その光とは「Luz」スペイン語で「光」という意味がある言葉で、主人公の名前でもある。原題は「ルスの二十年後」→「二十年後に光を」となる
ミリアムの口調の中にプイグ「蜘蛛女のキス」のモーリーがかいま見える気がした。
ようやく一つメニューを作り終えて、普通の読書に戻る。しかし、今年の6月に出た本が「取り寄せ」すら出来ないとは、どうなってるんだ、Amazonは。