都会のアリス
■Alice in den Städten, 1973 西独
■スタッフ
監督:ヴィム・ヴェンダース Wim Wenders
撮影:ロビー・ミュラー Robby Müller, マルティン・シェーファー Martin Schäfer
音楽:CAN
出演:リュディガー・フォーグラー Rüdiger Vogler,イェラ・ロットレンダー Yella Rottländer,リサ・クロイツァー Lisa Kreuzer
■内容
ドイツ人ジャーナリスト、フィリップ・ヴィンターは、アメリカでの旅行記執筆に息詰まり、ドイツに戻ることを決意する。そんな時、彼はドイツ人女性リザとその娘アリスと出会い、行動を共にすることになる。しかし、出発の朝、突然リザが姿を消してしまう。残されたアリスとフィリップは共に行動するにつれ、奇妙な友情で結ばれていく‥‥。
■感想
LDをもっていたのに、DVDを買ってしまおうパターン開始。そんなに慌てて買うつもりはなかったのだが、1998年発売の作品とあっては、いつなくなるかわからない。というわけで当分Wenders作品に集中することにした。これはジャケットの写真がLDの方が俄然よかった。
Wenders作品の中では“Paris,Texus”に次ぐ第二位を譲らないこの作品。誰が見ても多分この時期の作品にしては珍しく退屈しないと思う。私はあのまったり感がどーも好きなんだから、いいんだけど、人によってはロードムービー3部作とか退屈だろうなーと思う。
先月見た「緋文字」は作品としては失敗に終わったが、この作品を生みだすきっかけになったのだった。リュディガー・フォーグラーとイェラ・ロットレンダーの気が合うところを見て思いついた、というんだから単純。アリスの母親役のリザ・クロイツァーとはこの直後かな?ヴェンダースと結婚する。そのままアメリカの友人まで4本出て、そいで離婚して、次がNick's Movieの時の奥さん(ロニー・ブレイクリー)に続くわけ。そのあとまた離婚する。そいでちょっと飛んで八代亜紀(ソルヴェイグ・ドマルタン)と結婚して、また離婚してるんだから。この人は奥さん出すの好きなんだな。とは言え、56歳で離婚歴5回は立派。
アメリカを旅して自分を見失った男が、小さな女の子とアムステルダムからドイツを旅して自分を取り戻す物語。何故アメリカを旅すると自分を見失うか、というのが問題。映画の中では「どこへ行っても変わらない」ことを理由としてあげているが、それだけかなぁ。なんだかアメリカに対して失礼な気がするが。それでいてジョン・フォード追悼してるんだよな。日本だって北海道と沖縄以外は「どこへ行っても変わらない」と私は感じるが。
アリスがものすごくかわいい。生意気だけど、時々子供らしいところ見せるし。
こんなこと言っちゃいけないんだろうけど、今だったらこいつ犯罪者に即間違われそう。どう見ても娘には大きすぎる女の子を連れて歩いてる浮浪者みたいな30男の旅物語なんて、今だと成り立たない気がする。イヤな世の中になったもんだ。