最近読んだ本、見た映画・芝居、聞いたCD

2001年9月 9日

緋文字

■Der Scharlachrote Buchstabe ,1972 独=西
■スタッフ:
監督:ヴィム・ヴェンダース Wim Wenders
原作:ナサニエル・ホーソーン Nathaniel Hawthone
撮影:ロビン・ミュラー Robin Muller
音楽:ユルゲン・クニーパー Jurgen Knieper
出演:ゼンダ・ベルガー,ハンス・クリスティアン・ブレヒ.ルー・カステル,イェラ・ロットレンダー,リュディガー・フォーグラー

ヴェンダースの作品のうち、卒業制作の「アラバマ2000光年」(1969)から「夢の涯てまでも」(1991)の間で見てないものはこの「緋文字」と「ニックス・ムービー」の2本だけなので、せっかくDVD PLAYER(SONY DVD PLAYER DVP-NS500P)を買ったことだし、ちょっと見てみた。
劇場用映画としては3作品目なのに、もうカラー。しかも、時代ものってこれだけか?どの本を読んでも、あまり面白くなさそうなので避けていた。期待していなかった分、楽しめた気がする。
父親は誰だ?という謎は実は当初から明らかになっており、それよりは「何故そこまでして隠すのか?」という疑問を引っ張って、最後まで退屈せずに済んだ。自然環境の厳しさが画面に全面に現れているので、新大陸に来たばかりの清教徒たちの宗教や戒律の厳しさを納得させる効果がある。全般的に暗く、寒そうな画像が多いが、唐突に明るい海の絵が出ると、その開放感に何故か安心してしまうのが、不思議だ。
姦通の証である赤い「A」の文字を胸につけ、堂々とした面立ちで父親の名を隠し続ける、自己犠牲の固まりのような主人公が実は非常に強い情熱の持ち主で、秘密の父親と旧大陸へ逃げようと誘うところで、ようやく何故隠し続けていたのかがわかる。父親の方は終始苦しんでいるだけで、その苦しみから解放されることの方が、本来の義務を果たすことより重要だったという、しょうもない奴だ。
子役のイェラ・ロットレンダーがかわいい。おなじみのリュディガー・フォーグラーがちょい役の水夫役で出ている。この二人が仲良くなって、それを見ていたヴェンダースが次回作「都会のアリス」を撮る気になった、ということだ。