2001年6月
2001年6月22日
2001年6月21日
エバ・ルーナのお話
■原題:Cuentos de Eva Luna,1990, Isabel Allende
■著者:イサベル・アジェンデ著,木村榮一,窪田典子訳
■書誌事項:国書刊行会 1995.7.15 ISBN4-336-03596-2(文学の冒険)
■感想
チリの故アジェンデ大統領の姪で、「精霊たちの家」でベストセラー作家になったイザベル・アジェンデの作品。多数著作はあるようだが、この3作品しか日本語に翻訳されていない。
文学作品としての評価は低いようだが、小説としては抜群に面白い。読みやすいし、ほどよくファンタスティックでリアルな感じが、心地よい。ラテンアメリカ文学は悲惨な話が多いので、どんなふうに主人公が身を持ち崩すかと思って読んでいくと、さりげなくハッピーになったりするから、やっぱり女性向きなのか。
エバ・ルーナという名の主人公の物語で長編、下はそのエバが作ったお話という設定の短編集。舞台はチリではなく、ベネズエラらしい。おとぎ話の中に政治動向も盛り込まれた、不思議な作品。結構一気に読めます。
2001年6月10日
夜になるまえに―ある亡命者の回想
■原題:Antes Que Anochezca, 1992, Reinaldo Arenas
■著者:レイナルド・アレナス著,安藤哲行訳
■書誌事項:国書刊行会 1997.4.25 ISBN4-336-03951-8(文学の冒険)
■感想
アレナスの自伝。貧しく、土を食べていた幼年時代から、キューバ革命に熱狂した青年時代、栄光の新進作家時代、そして、秘密警察に追われる日々。投獄、亡命。ニューヨークにたどり着いて10年でHIVに感染していることを知り、自伝を書き、自殺する。
壮絶な人生なんだけど、悲惨な話は多いんだけど、でも、ユーモアのセンスあふれるお話なので、別に読んでいて落ち込むようなものではないです。
しかし、すごいこの人はゲイとしても、すごいゲイです。つかまるってわかってるのにやっちゃうんだから…。キューバってゲイだらけなんじゃないかと、これ読んでると思うよ。
ラテンアメリカ文学の大作家たちが、カストロを支持したことにより、強烈に弾劾されている。筆頭はガルシア・マルケス、キューバの巨匠カルペンティエル、役人のようなカルロス・フエンテス。ガルシア・マルケスについてが特にひどいのだけど、政治的には所詮素人だから、作品の価値には関係ないと思うんだけど、不思議にアレナスと共通点があったりするから不思議。それは「グランドマザー・コンプレックス」。ラテンアメリカのおばあちゃんは偉大なんだな(笑)
アメリカではベストセラーになったようで、映画になっているのを知ったのは、私は後から。たまたま試写会のチケットもらったんだけど、まっ昼間だったので見に行けませんでした。残念。今年の秋公開なので、そうしたら見に行こうかと思います。結構すごいキャストだったりしますね。
■映画情報: 「夜になる前に」2000年 アメリカ
Before Night Falls 公式サイト(英語、スペイン語)
第57回ベネチア国際映画祭(2000年) 審査員グランプリ、最優秀男優賞
監督:Julian Schnabel
出演:
Javier Bardem (Reinaldo Arenas) ハビエル・バルデム
Sebastian Silva (Reinaldo's father) セバスチャン・シルバ
Olivier Martinez (Lazaro Gomez Carilles) オリヴィエ・マルティネス
Andrea Di Stefano (Pepe Malas) アンドレアス・ディ・ステファーノ
Johnny Depp (Bonbon, Lt. Victor) ジョニー・デップ
Sean Penn (Cuco Sanchez) ショーン・ベン
Michael Wincott (Herberto Zorilla Ochoa) マイケル・ウィンスコット
Hector Babenco (Virgilio Pinera) ヘクトール・バベンコ
Najwa Nimri (Fina Correa)