ハバナへの旅
■原題:Viaje a La Habana, 1990, Reinaldo Arenas
■著者:レイナルド・アレナス著,安藤哲行訳
■書誌事項:現代企画室 2001.3. ISBN4-7738-0100-X 2,200円
■感想
レイナルド・アレナスはキューバの作家。カストロ政権下で逮捕・投獄、原稿没収などさんざん悲惨な目に遭って、亡命したにもかかわらず、NYもまたいごこちの良い場所ではなかった。「革命」がすべてのキューバから逃げても「金」がすべてのアメリカに幻滅する。
「ハバナへの旅」では妻子を捨て亡命し、二度と帰るまいと思いながらも全財産をもって一時帰国した男が主人公になっている。変わり果てたハバナに、それでも男は帰って行く。亡命文学の悲哀は故国に住むものにはよくわからないが、哀感迫る短編集である。