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戯曲

青春の砂のなんと早く/行きずりの人たちよ

初出:『テアトロ』1980年6月号
収録:「あの日たち」p227~252 テアトロ 1974.7.1 ※「行きずりの人たちよ」
「宿魂劇・1980 : 青年座上演作品集」p5~35 而立書房 1980.9
「清水邦夫全仕事1958~1980下」p371~392 河出書房新社 1992.6.20

受賞:テアトロ演劇賞(第8回・1980年度)

【上演データ】
1980(昭55)年6月11日~15日,9月16,21,26日,10月1,6,11,16,21,26,31日,11月5,10,15,20日
青年座「5人の作家による連続公演」
会場:青年座劇場
演出:五十嵐康治
美術:綾部郁郎
照明:佐久間和雄
効果:高橋厳
出演:山路和弘(男)/大塚國夫(年上の男)/中台祥浩(医師)/大橋芳枝(妻と称する女)/五味多恵子(母親と称する女)/児玉譲次(9/16~医師)

「行きずりの人たちよ」
署名人/行きずりの人たちよ
サイスタジオ公演vol.17(公式サイト
2006(平成18)年3月24日~4月2日
会場:サイスタジオ
演出:清水邦夫/松本典子
出演:新井理恵/金光泰明/佐藤里奈/水谷豊/中村美代子(特別出演)
美術:乘峯雅寛(文学座)
照明:賀澤礼子(文学座)
音響効果:熊野大輔

【あらすじ】
 全国をセールスして回っている男が偶然汽車の中で知り合った男の様子がおかしいため、病院に連れて行く。そこでその男が記憶喪失だとわかる。彼の妻とその母親が面会に来て、3ヶ月前に失踪した夫だと申し出る。しかし男には妻を覚えていない。逆に「行きずり」のセールスマンが本当にただの行きずりなのか、疑問に思い始める。
 妻が偽物なのか、セールスマンは実は古くからの友人で今自分が邪魔になって捨てようとしているのか、わからなくなって混乱し始めるが、記憶喪失と言っている男自身が嘘をついているのかもしれないのだ…。
【コメント】
 もともと舞台にのせるための戯曲として書いた「行きずりの人たちよ」がラジオドラマになり、それを青年座の依頼により改訂したという作品。元々ラジオドラマだけあって、効果音や語り方に特徴があります。全ての登場人物が誰かに語りかける、という形をとる、いわば一人芝居が入れ替わり立ち替わり出てくる芝居です。告白劇に近い感じですね。ですから登場人物が語り合う場面が一つもないのです。
 登場人物たちの台詞が錯綜して次々と発せられるため、誰が真実を語っているのかが観客にはわかりません。男、セールスマン、妻の誰もが孤独をかかえ、そのために男を取り合う形になっていますが、実際、誰が誰を捨てようとしているのか、誰が誰を捨てたのかは闇の中です。真実のもつ意味の希薄さを突きつけられるような結末でした。
 


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