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戯曲

哄笑―智恵子、ゼームス坂病院にて

初出:『テアトロ』1991年11月号(585号)
収録:「清水邦夫全仕事1981~1991下」p477~534 河出書房新社 1992.11.30

【上演データ】
1991(平3)年10月5日~13日
木冬社第17回公演、木冬社=パルコ提携公演
会場:パルコ=スペースパート3
演出:清水邦夫
美術:清水邦夫
美術監修:朝倉攝
照明:堀井俊和
音響:深川定次
舞台監督:市川兵衛
制作:岩下佳保里/村田久代/宗由紀美
出演:松本典子(高村智恵子)/小林勝也(高村光太郎)/内山森彦(田原牧師)/黒木里美(田原塩子)/南谷朝子(田原実子)/玉城美〓(田原千秋)/加藤早苗(田原奈美)/越前屋加代(村上春江)/田中幹子(村上春江)/石塚智二(新井中尉)/松戸賢一(中上少尉)/根岸朗(桐野憲兵大尉)/川田涼一(宗田憲兵上等兵)/原口健太郎(山崎憲兵上等兵)/竹内沢子(西野たえ)/菊岡薫(横浜さと)/林香子(浜田りえ)/三村朋子(患者)/宗由紀美(患者)/松井綾(患者)/村田久代(患者)/望月咲子(患者)/相川敏幸(信者1)/関根由美子(信者2)
再演:1993(平5)年10月27日~11月4日
木冬社公演、東京都教育委員会=(社)日本劇団競技会共催
会場:東京芸術劇場中ホール
演出:清水邦夫
美術:清水邦夫
美術監修:朝倉攝
照明:堀井俊和
音響:深川定次
舞台監督:富川孝
制作:倉掛淳一
出演:松本典子/小林勝也/黒木里美/内山森彦/南谷朝子/菊岡薫/林香子/越前屋加代/田中幹子/松戸賢一/他
【あらすじ】
 昭和11年5月上旬、南品川のゼームス坂教会の集会室が舞台。二・二六事件の2ヶ月後、世相は次第に暗くなっていった頃である。この教会の隣にはゼームス坂病院があって、精神病患者が多く入院している。詩人で彫刻家の高村光太郎の妻・智恵子もここに入院していた。
 病院と教会の間には塀があったが、病院から大通りへ抜けるのに近道なため、患者や看護婦、医師も塀を乗り越え、集会室を通り過ぎて行くことがしばしばあった。教会の牧師・田原には四人の娘がいた。長女の塩子は舞台で踊っていたが、足を痛めて家に帰ってきていた。そこへ智恵子が近道をしようと教会へやって来て、二人は親しくなった。
 智恵子は夫の光太郎がすでに死んでしまっていると思い込み、生身の光太郎を受け入れない。光太郎は自分を思い出させようと必死の努力をするが…。
【コメント】
 日本近代文学史に名だたる愛妻家・高村光太郎とその妻・智恵子の物語は現在でも知らない人のない有名なお話です。ただ、何故智恵子が狂気の世界に陥ったのか、あれほど大切にされていたはずの智恵子に何が起こったのかは未だに謎とされています。
 智恵子が光太郎を忘れ、光太郎本人の前で光太郎への不満をぶちまける、あるいは愛情を吐露する、というような場面は実際にあったかもしれません。
 舞台は昭和初期の軍靴が響き始める頃の日本です。ですから当然のように軍人が登場するのですが、彼らは二・二六事件の主力となった決起部隊が所属する麻布三連隊の軍人です。二・二六事件後、この舞台が満州の最前線へ送りこまれたというのは知りませんでした。
 この舞台は久しぶりにロングランとなり、地方公演も多く行われました。木冬社の代表的な公演と言われます。確かに叙情的でじっくりと観ることの出来る、落ち着いた舞台だったなと思いました。
 


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