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戯曲

かけがえのない日々

1967
初出:『シナリオ』通巻259号 1970年1月号
再録:『せりふの時代』通巻31号(2004年春号) p72~89
収録:「清水邦夫の世界」p99~115 白水社 1982.5.7
※→ラジオドラマ(1969 東京放送)

【上演データ】
2004(平16)年2月7日~11日
NANYA-SHIP れぽっく・あべっく清水邦夫vol.1公演
会場:下北沢駅前劇場
演出:宮田慶子
出演:里村孝雄/平良政幸/南谷朝子
演奏:川崎晴美(キーボード)/鈴木ひさし(パーカッション)/立花泰彦(ベース)
【あらすじ】
動物園の一隅。閉館時間の五時を過ぎ、
園内のざわめきが引き潮のように
遠のいていく中、
係の男が二人、見回りを始める。
たいしたことは何も起こらない、せいぜい立て札の悪戯を発見するくらい。
「なんでもいい、
何か変わったことさえ起こってくれたら……」、
二人の男は、
ライオンの檻を開け放つ。
【コメント】
この戯曲はもともとはラジオドラマで、1967年に書かれ、1969年にTBSラジオで放送されたようです。このときの出演者などは調べても現在わかりません。
女優・南谷朝子は木冬社に在籍し、「楽屋」「夢去りてオルフェ」「弟よ」「哄笑」などに出演。木冬社を退団後はマキノノゾミ公演などで活躍中。彼女を中心にプロデュース公演を行っている劇団というか、演劇企画集団というか。
「夢を語ったとたんにバクに襲われる動物園の警備員たち」という皮肉なお話。どう猛で勇敢なライオンになりたくて檻の扉を開け放った彼らがつかまったのはバクでした。一方、自由にしてやるというのに、結局自分からは檻を出ようとしないライオンの姿をでした。
舞台上は三人のミュージシャンが動物に扮して生演奏で、それぞれの生態を表現。川崎晴美さんはマキノノゾミ公演ほか多数のお芝居で音楽を担当されていて、ジャズ・ベーシストの立花泰彦も出演しています。
ジョン・アーヴィングが動物園の熊を檻から出す「熊を放つ」という小説を書いたのが1968年ですから、おそらくこちらの方が早いと思います。もちろん、翻訳されたのがずっと後の1986年ですから関係ないとは思いますが。
(2004.11.5)
 


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