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戯曲

いとしいとしのぶーたれ乞食

初出:『同時代演劇』第4号(1971年)
収録:「ぼくらが非情の大河をくだる時」p61~93 新潮社 1974.2.15
「楽屋―流れさるものはやがてなつかしき―」p59~87 レクラム社 1989.1.10
「清水邦夫全仕事1958~1980上」p421~439 河出書房新社 1992.6.20

【上演データ】
1983(昭58)年7月
木冬社ミニシアター公演No.3
会場:木冬社アトリエ
演出:清水邦夫
出演:黒木里美/伊藤珠美/他
【あらすじ】
 気の狂った乞食の老人夫婦がもう何十年もおかげまいりの集団がやって来るのを待っている。そこへ、おかげまいりツアーの一行がやって来る。かつてのおかげまいりのように徒歩での乞食旅行をパックツアーにした旅行社の男と、未亡人、その娘で自殺マニアの女、使用人の女中・運転手・看護婦の6人である。現代生活にあきあきしているくせにそこから抜け出せない彼らは、このばかげたツアーに参加することで何かを得られる気になっている。
 やっとおかげまいりに出かけることが出来るという、老婆の喜びと期待にツアーの連中は圧倒される。結局、老婆の幻想は打ち砕かれ、一行は去っていくが…。
【コメント】
 短い戯曲です。書かれた時期は早いのですが、上演は1983年になってからです。
 評論集『われら花の旅団よ、その初戦を失へり』の「浮浪の思想」にご本人の解説があります。この頃の評論を見ると「浮浪」というものにこだわっていた時期だったんだなあと思います。
 話は変わりますが、アメリカのホーボーの歴史というのも面白いもので、大恐慌から第二次世界大戦までの間、列車で移動する労働者の集団があったそうです。車が発達して見られなくなったそうですが、50年代のビートニクなんかはこの「移動する」という思想の影響を強く受けています。
 同じ「浮浪」でも徒歩と列車の差は国土の広さの違いでしょうけど、精神風土の違いでもあり、何となくあっちの方がカッコいいなあ、などと思ってしまいます。
 


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