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戯曲

逆光線ゲーム

1962年の作品
初出:『テアトロ』1967年11月号
収録:「あの日たち」p105~195 テアトロ 1974.7.1
「清水邦夫全仕事1958~1980上」p99~154 河出書房新社 1992.6.20

【上演データ】
1963(昭38)年5月14日~21日
劇団青俳第11回公演
会場:俳優座劇場
演出:観世栄夫
装置:高田一郎
照明:篠原久
音楽:林光
効果:安田哲男
出演:岡田英次/原知佐子/蜷川幸雄/正城睦子/真山知子/高津住男/梅崎栄/他
再演:1967(昭42)年8月8日~14日
劇団青俳第20回公演
会場:俳優座劇場
演出:秋浜悟史
美術:朝倉攝
照明:立木定彦
作曲:三木稔
音響:安田哲男
出演:岡田英次/市川夏江/蟹江敬三/正城睦子/荘司洋子/高津住男/金井大/蔵一彦/他
【あらすじ】
 とある小さな田舎町の医者の家が舞台。その家には医者と娘、息子とその妻である看護婦。居候の元衛生兵の5人で暮らしている。他にコンゴをもったチンピラのような青年が入院している。
 この医者は戦時中、中国で生体解剖を執行したため刑務所に入り、出た後も世間の非難の目を隠れて転々としている。妻は先に死んでいる。息子は植物の研究とやらで、娘は何もせずぶらぶらとこの家に住んでいる。下の娘は2年前男と一緒に出て行った。そして衛生兵は生体解剖のとき助手をしていて、今でもこの家族にその時の体験を語り続けて、苦しみを紛らわしている。
 突然、下の娘が帰ってくる。家族は彼女を受け入れるが、入院患者の青年と気が合うようだ。また出て行くのではないかと思われたが…。
【コメント】
 初の三幕物、長篇です。
 一見迷惑でしかない衛生兵の存在が家族を結びつけている、同じゲームに参加させているという奇妙な人間関係。息子の妻は本当は医者の愛人で、姉娘は衛生兵の部屋に夜な夜なしのんで行く。この家族のゲームを終わらせたのは、終始狂言回しであるコンゴをもった青年でした。
 生体解剖よりもこの青年を書きたい、というのがこの作品を書き始めた動機であると後に作者は語っています。風来坊で一つところにとどまらないが、父親に縛り付けられているこの家の娘と息子に比べると、その自由さ、軽さは際立ちます。
 「若者は自由を与えられてもそれを消化する強靱な胃袋がなく、悪性の下痢ばかりおこしている」という医者の言葉は、意味としては使い古されながら、表現としては今でも新しいと感じます。
 


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