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戯曲

ぼくらは生まれ変わった木の葉のように

初出:『辺境』第8号(1972年)
収録:「ぼくらが非情の大河をくだる時」p95~131 新潮社 1974.2.15
「ぼくらが非情の大河をくだる時」p5~41 レクラム社 1983.10.1
「清水邦夫全仕事1958~1980下」p7~27 河出書房新社 1992.6.20
「清水邦夫 1」ハヤカワ演劇文庫 p63~111 早川書房 2006.11.22

【上演データ】
1972(昭47)年4月
演出:清水邦夫
出演:桐朋学園大学演劇科
【あらすじ】
 一組の男女が乗った自動車がある家に突っ込む。そこには夫と妻、その妹の3人が暮らしていたが、壁を壊して入り込んできた車に対して妙に落ち着いている。彼らは家を破壊した当の男女を心からもてなす。放浪を半年続けて来て、歓迎されることになれていない二人は、居心地が悪く感じるが、次第にこの家族の術中に陥り、ついには泊まってしまう。
 1ヶ月後、5人は何故か芝居のまねごとをしたりして一緒に暮らしている。夫婦はしつこく出て行こうとする二人をあれやこれやで引き止めようとするが…。
【コメント】
泣かないのか?
泣かないのか?一九六〇年のために
ぼくらは生まれ変わった木の葉のように
無力なギリシャへ出かけよう
(アレン・ギンズバーグ)
 という詩が裏表紙に添えられています。次の次の芝居へとつながっていく詩です。
 この頃桐朋学園で講師をしていたようで、ゼミのために書いた戯曲のようです。ハムレットやオセローなどからの引用が多いのはそのためでしょう。確かに「あなた自身のためのレッスン」でもホールの管理人夫婦がいろいろな古典劇の台詞を言ってましたが、今回はそれよりもかなり多いようです。
 この後、古典劇や詩の引用がどんどん増えていきます。饒舌の裏に隠された沈黙を表す表現方法として確立していくわけですが、これを「自分の言葉をもたない」俳優に似せて自嘲気味に出していく時期もやってきます。しかし私はこの手法が好きです。本物を聞いても何とも思わないんですが、こうやって挿入されるとやけにカッコいい。いい台詞を吐いた時の自己満足な俳優の顔を見せつけられるのは気分が落ち着かないのですが、こうやってちょっと引いたゲーム感覚で見せられると、何故か気分が良さそうだなと素直に思ってしまいます。不思議です。
 演劇科のために書いただけあって、学生演劇には人気があったようです。俵万智も高校の演劇部で上演したとか。
 


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