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戯曲

明日そこに花を挿そうよ

初出:『早稲田演劇』第6号(1959年号)
収録:「想い出の日本一萬年」中央公論社 1971
「清水邦夫全仕事1958~1980上」p51~98 河出書房新社 1992.6.20

【上演データ】
1960(昭35)年7月
劇団青俳特別公演
会場:俳優座劇場
曲:バッハ
演出:塩田植
装置:高田一郎
照明:篠原久
音楽:石丸寛
効果:田村悳
出演:木村功(灸)/蜷川幸雄(右太)/原知佐子/青木義朗/他
再演:1970(昭45)年5月20日~27日
現代人劇場稽古場公演
会場:現代人劇場稽古場
演出:蜷川幸雄
照明:吉本昇
編曲:井上博一
音響:今泉芳春
舞台監督:梶原譲二
出演:石橋蓮司(灸)/青山達也(右太)/本田龍彦(修造)/緑魔子(千恵子)/加藤真智子(お米)/豊田紀雄(辰之)/坂口連(辰之)/井上博一(源十)/鈴木仁美(よし江)/他
【あらすじ】
 引揚者寮の一画が舞台。一階には修造・灸・右太親子、二階にはお米と病気の娘チー子が住んでいる。部屋から一歩も出ないチー子の元に灸は、右太の買ったカナリアをおいて始終出入りしている。
 父親の修造は酒代を息子たちにせがむが、灸は絶対に金を貸さずに貯め込んでいる。ある晩、修造はその金を見つけ、呑んで使い果たして帰ってくる。すると…
【コメント】
 早稲田時代の作品、二幕です。上演されたのは1960年と最も早い時期のものです。青俳で初演され、当時研究生だった蜷川幸雄に強烈な印象を与えます。この年の春、二人は出会っています。10年後、蜷川との現代人劇場での第2作として再演されました。その10年間というのは1960年から1970年という60年安保から70年安保への間。24歳の青年が34歳の大人になって、再度舞台にのったこの作品の最後の「明日そこに花を挿そうよ」という少女のセリフは、老婆のしわがれた声に変わっていたそうです。
 それにしても…舞台が引き上げ寮、灸の夢が夜間高校を卒業して大学に行って少しはましな生活をすること、なんて…。妙にリアルで、ちょっと他の作品から考えても浮いてるというか古くさい感じがします。資料を見ますと青俳というのは社会主義リアリズムの時代の劇団で、まぁ、そういう事情によるものかな、という気はしました。しかし、この作品でもまだ「わからない」という俳優がいたそうです。おいおい、おっさん…。
 また、とにかく暗い話だなあと。別に他の作品も明るい暗いで言ったらそりゃ暗いんですけど、それにしても突出して暗い。その中で唯一の光というか希望というかがチー子の存在なのですが、再演の時は緑魔子が演じました。これはきっとはまったでしょうね。病弱っぽくはないですけど。石橋蓮司ともども好きな役者さんなんですが、まだ第七病棟は3回しか観たことないんです。3~4年に一度だからしょうがないですけどね。
 


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