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評論・エッセイ

月潟村柳書

初出:『文学界』1988.7

白水社 1985.6.15 241p 20cm 本体価1300円 ISBN4-560-04193-8

月潟村柳書
第一章 父、そして「月潟村柳書」の事―昭和五十六年・夏:p3~22
第二章 〈父の声〉、そして月潟村訪問の事―昭和五十六年・秋:p23~55
第三章 M・K子からの手紙、そして郷里の「新井」「高田」訪問の事―昭和五十七年・初夏:p56~95
第四章 〈母の声〉、そしてM・K子との対面の事―昭和五十七年・初夏:p96~128
第五章 浜田巡査の妻訪問、そして弓さんの死の事―昭和五十七年・夏:p129~160
第六章 月潟村再訪、そして冬の日本海で浜焼きをする流芸人つたさんのこと―昭和五十八年・冬:p161~237
終 章 〈休ん場〉、そして風の川の事―昭和五十九年・冬:p238~241
【あらすじ】
死んだ父の遺品の中にあった「月潟村柳書」というノートに何やら謎めいたものを感じた著者は故郷やその近くの芸能が盛んだった村・月潟村を訪ね歩く。郷土芸能の歴史と共に若い頃の父親の足跡を辿り、父の謎の行動を探っていく…。
【コメント】
最初の印象は「郷土史」なんてオヤジくさいなあ、でした。若い頃の父親を探していくというルーツ探しのような趣きも少しありふれているし…。でも芸能の話が多いので何となく面白く読み進めていくうち、それでも不思議と透き通ったロマンを感じてしまいます。そして次第にミステリのような面白さが加わって、どんどん読み進めていってしまいました。
これを最初に読んだ時、あれ?お兄さんは二人いたんだ、と驚いた記憶があります。お兄さんがいることは作品からすぐ察せられたし、小説にも頻繁に出てきます。年譜にも同じ大学にいて、劇作へ進むきっかけになったのもお兄さんだというし…。何となく二人だけの兄弟と思っていたのです。多分長兄というのがよく出てくるお兄さんのことでしょう。
兄というのはどことなくうざったく、それでいて頼りがいのあるような存在。弟というのはどことなくうざったく、それでいてかわいい存在。なるほどなあと思います。「兄弟」に関しては一言ある人物だと思われたのでしょうか、若貴兄弟が話題になったときに『朝日新聞』に書かれた文章は面白かったな、と記憶しています。


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