井上陽水 Disc Review
ハンサムボーイ
ハンサムボーイ

  1. Pi Po Pa
  2. エミリー
  3. ライバル
  4. 最後のニュース
  5. ギャラリー
  6. 少年時代
  7. フィクション
  8. Tokyo
  9. 夢寝見
  10. 自然に飾られて
  11. 長時間の飛行
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FOR LIFE 1990年10月21日 FLCF-30081(CDオリジナル)
FOR LIFE 2001年5月30日 FLCF-3858(デジタル・リマスター盤)
FOR LIFE 2009年3月25日 FLCF-5011(SHM-CD)

井上陽水は1990年に入っていきなり大ヒットアルバムを出した。これは名作だ。

発表されたときには、シングルカットやテレビ番組の挿入歌ですでに知られている曲が多かった。11曲中実に7曲がタイアップで、話題が盛りだくさんのアルバムだった。そのため、このアルバム自体の新鮮味はなく、トータルのアルバムとしての意味はないように見えた。が、アルバムを陽水の歴史の中で考えるに、最大の意味は「変化」。その中で重要な役割を果たしたのは平井夏美氏との出逢いではなかったか。

元々叙情的な曲を書くことを得意とする陽水だったが、その叙情性に暖かみと優しさを加えたのが平井夏美だった。ライブで登場し、「少年時代」のピアノ伴奏をつけていたが、ものすごく普通のおじさんだったのでびっくりした。その暖かみが「少年時代」をして“懐かしい日本の夏の原風景”を歌うスタンダード・ナンバーにしてしまったのではないか。

タイアップは以下のようになっている。

  • 「Pi Po Pa」NTTのCMソング
  • 「エミリー」味の素ゼネラルフーヅMAXIMのCMソング。英語で歌われていた
  • 「最後のニュース」ニュース番組“筑紫哲也NEWS 23”のエンディングテーマで、シングルにもなっている
  • 「少年時代」安孫子素雄原作の同名映画
  • 「Tokyo」野田秀樹演出の国性爺合戦(1989年銀座セゾン劇場)
  • 「夢寝見」日産セフィーロCMソング。シングルカットもされている。
  • 「自然に飾られて」日産セフィーロCMソング

ほかにも「ギャラリー」は荻野目洋子に提供した曲で、素のオリジナル曲はない。それでもアルバムとしての統一感があるのは、やっぱり「少年時代」「エミリー」「自然に飾られて」の三曲に平井夏美が参加しているせいではないだろうか。

そう言えば“風あざみって何?”という疑問をもったアイドルが陽水の故郷を訪ねる番組があった。結局、陽水の造語だったことは今では知られている。

夏が過ぎ 風あざみ 誰の憧れにさまよう
青空に残された 私の心は夏もよう

「Pi Po Pa」は電話をテーマにした曲。聞き間違えることのない、このバックコーラスはあっこちゃん(矢野顕子)。そう言えば「招待状のないショー」に参加したことがあって、それ以来。細野晴臣の編曲だ。

「エミリー」のピアノはステキだ。「ライバル」には吉田美奈子の声がする。「最後のニュース」は明らかにニュース映像を意識して作られている、という点であざといほどPV向き。「ギャラリー」の哀しげなギターが好きだ。

  作詞作曲編曲
1Pi Po Pa井上陽水井上陽水井上陽水・細野晴臣
2エミリー井上陽水井上陽水井上陽水・平井夏美
3ライバル井上陽水井上陽水川島裕二
4最後のニュース井上陽水井上陽水井上陽水・川島裕二
5ギャラリー井上陽水井上陽水星勝
6少年時代井上陽水井上陽水・平井夏美井上陽水・平井夏美・星勝
7フィクション井上陽水井上陽水後藤次利
8Tokyo井上陽水井上陽水・平井夏美井上鑑
9夢寝見井上陽水井上陽水川島裕二・藤井丈司
10自然に飾られて井上陽水井上陽水・平井夏美井上陽水・平井夏美・
服部克久
11長時間の飛行井上陽水井上陽水・川島裕二川島裕二

NEGATIVE

ガイドのいない夜