井上陽水 Disc Review
あやしい夜をまって
あやしい夜をまって

  1. ジェラシー
  2. 海はどうだ
  3. 風のエレジー
  4. My House
  5. もうじき夏がくる
  6. 星空へHappy Game
  7. 天使inマガジン
  8. Yellow Night
  9. Love is you
  10. マリーナ・デル・レイ
      ~ナイト・メロディー
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FOR LIFE 1981年11月21日 28K-32(LP)
FOR LIFE 1985年4月21日 35KD-7(CDオリジナル)
FOR LIFE 1990年2月21日 FLCF-29032(再発売)
FOR LIFE 2001年5月30日 FLCF-3852(デジタル・リマスター盤)
FOR LIFE 2009年3月25日 FLCF5005(SHM-CD)

陽水の「あやしい」魅力を決定づけた感のあるアルバム。ものすごく充実している内容である。まず、参加スタッフがバラエティに富み始めた。作詞に友部正人、阿木耀子、松本隆を迎え、更にアレンジャーとして初めて川島banana裕二が参加している。「風のエレジー」は森進一に提供。

のっけっから「ジェラシー」なんである。艶っぽく、あやしい。

ハンドバッグのとめがねが
はずれて化粧が散らばる
波がそれを海の底へ引き込む

「化粧品」じゃないところがイメージあふるる感じ。
そして、

ワンピースを重ね着する君の心は
不思議な世界をさまよい歩いていたんだ

この「ワンピースを重ね着する」女の心ってのはなんだ?というのはいろんな解釈があるみたいだが、私は即物的に「浮気している」の暗喩かと思っていた。タイトルが「ジェラシー」だし…。

歌詞でいうと、「My House」で爆発。むちゃくちゃな詩で、韻を踏むことしか考えてないの?というパターン。本人の歌詞の覚えにくさ=聞き取りにくさは、次の「飾りじゃないのよ涙は」へと続く。でも、楽しい曲だ。何と言っても本人が気持ちよさそうに歌っているのがいい。

「星空へHappy Game」の

遠い星空までムスタングでゆくよ
二人、笑えるから行きすぎても行くよ

はやはり次のアルバムの「愛されてばかりいると」に続いていくのだろう。

「もうじき夏が来る」は“陽水の日本の夏シリーズ”と勝手に名付けている情緒あふるる歌詞が特徴。「夏まつり」「少年時代」とこの「もうじき夏がくる」だけだが。

「Yellow Night」のシンセに、古くささと懐かしさを感じてしまうのは仕方がないが、何せシンセが入ったのはほとんど初めてじゃないかと思う。この後の陽水サウンドの新境地が予測される。シングルの「ジェラシー」にも川島裕二が参加している。

最後の「マリーナ・デル・レイ」が最高に気分が良い。いつだって一緒に口ずさんでしまいそうだ。

  作詞作曲編曲
1ジェラシー井上陽水井上陽水星勝
2海はどうだ友部正人井上陽水星勝
3風のエレジー阿木耀子井上陽水星勝
4My House井上陽水井上陽水星勝
5もうじき夏がくる井上陽水井上陽水安田裕美
6星空へHappy Game井上陽水井上陽水鈴木茂
7天使inマガジン井上陽水井上陽水矢野誠
8Yellow Night井上陽水井上陽水川島裕二
9Love is you井上陽水井上陽水矢野誠
10マリーナ・デル・レイ~ナイト・メロディー松本隆井上陽水星勝

EVERY NIGHT

LION & PELICAN