最近読んだ本、見た映画・芝居、聞いたCD

2001年1月25日

燃える平原

■著者:ファン・ルルフォ著,杉山晃訳
■書誌事項:水声社 1990.11.20 ISBN4-89176-240-3
■紹介
灼熱の太陽が照りつける荒涼とした大地を舞台に、人間の愛憎、孤独、欲望、宿命を禁欲的な文体で描き、意識の奥深くに抗道を掘り込むが如き神話的な物語にまで昇華した、現代メキシコの伝説的な前衛作家の唯一の短篇集。
■感想
杉山先生が前述の「南のざわめき」で強力に押していたので、最初は「ペドロ・パラモ」を買おうと思ったのだが、岩波文庫が絶版。仕方がないのでふるほん文庫やさんに頼んだが、もうしばらくかかりそう。岩波文庫のくせに1280円もかかりおって…。サンリオSF文庫じゃないんだから(5,000円とかある)。
ルルフォはメキシコの作家で生涯二作品しか書いていない。この本が短編集で「ペドロ・パラモ」が長編。あとは脚本が一つ。潔い作家ですな。短編として、一つ一つが非常によく出来ている。作家を志す人なら読んでおくべきでしょう。ちょっとお手本チックだけど。
悲惨な生まれだったらしく、話も悲惨。作品としては高く評価できるけど、感想を言わせてもらうと、やっぱり、悪いけど、やっぱりこういうのがあるから、メキシコ文学やキューバ文学は貧乏くさいという印象を免れ得ない。日本でいうと、江戸時代の農民の話に近い感じだな(読んだことないけど)。
「大地震の日」はシニカルなユーモアにあふれていて、気に入った。こういうのは好きなんだけどな。